20校→3校に…行田市、全小中学校を一貫校に 市長選の公約にも 「切磋琢磨には、ある程度の規模必要」
埼玉県行田市は16日、市内の公立小中学校20校を2034年度までに義務教育学校3校に統合、再編すると発表した。市によると、市内の全小中学校を再編して小中一貫の義務教育学校を設置するのは県内で初めて。同市の行田邦子市長は同日の定例会見で「行田市ならではの教育を行っていきたい」と述べた。義務教育学校は中学校区で分けて、北部(長野、見沼、南河原中)、南部(忍、行田、埼玉、太田中)、西部(西中)に1校ずつ設置する計画という。
市によると、1985年度のピーク時には約1万2千人の児童生徒がいたが、昨年5月時点では5145人まで減少。2043年度には約3100人まで減少すると予想されている。小規模校は部活動などに制約が生じ、クラス替えができずに人間関係も固定化しやすいとされる。市は新たな学校の規模を1学年3学級以上とすることにした。
昨年4月の市長選で初当選し、義務教育学校の設置を公約にも掲げていた行田市長は会見で、「子どもは減っているが、切磋琢磨(せっさたくま)するには、学校にある程度の規模が必要。義務教育学校では行田の歴史や伝統を学んだり、生きた英語を学ぶなど、行田ならではの教育を行っていきたい」と語った。
市は19年に市公立学校適正規模・適正配置の基本方針及び再編成計画を策定。22年に北河原小が南河原小に編入したほか、中央小と星宮小を再編成して忍小を開校、荒木小、須加小を再編成して見沼小を開校した。23年には太田西小と太田東小も再編成して太田小を開校し、喫緊の課題だった複式学級を解消した。
当初は北河原小、荒木小、須加小、見沼中を再編して義務教育学校を設置予定だったが、義務教育学校を不安視した荒木地区を中心とする保護者や地域住民から反対の声が集まり、白紙になった経緯もある。だが、当初の計画から想定を超えるスピードで児童生徒数が減少していることもあり、新たな再編計画の骨子案を3月までに策定する。
渡辺充教育長は会見で「これまでは説明が不足していたので、丁寧に説明をしていきたい」と話した。市は保護者や地域住民などへの説明会の実施、個別計画の作成などの事業費136万円を盛り込んだ24年度一般会計当初予算案を21日開会の3月定例会に提案する。