埼玉新聞

 

浦和熊手市が中止…何かあれば覚悟していたが 公園内で出火、露店2店舗が全焼 関係者ら「残念」

  • 調公園内で発生した火災現場。開催予定だった浦和熊手市の中止が決まった=11日午前、さいたま市浦和区岸町3丁目

 10日午後8時半ごろ、埼玉県さいたま市浦和区岸町3丁目の調(つきのみや)公園内で出火、露店2店舗が全焼したほか、隣接する公衆トイレの外壁や自動販売機が焼けた。火災を受け、調公園で12日に開かれる予定だった「浦和熊手市」の中止が11日、決まった。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、調(つき)神社と調公園周辺で毎年12月12日に開催される「十二日(じゅうにんち)まち」の中止が既に決まっており、熊手商の関係者は「残念」と話した。

 浦和熊手商組合によると、コロナの影響で、例年の半数程度の14店舗が出店する予定だった。開催時間も午前10時~午後9時までに短縮。入り口と出口の動線を分けて、来場者にマスク着用を求め、消毒液を用意して感染防止対策を徹底するように準備を進めていた。恒例の手締めの掛け声も控えめに実施する予定だった。

 公園を管理する市側と交渉を重ねて、開催にこぎ着けただけに、同組合会長の福田功さん(73)は「何かあれば中止と覚悟していたが、残念」と無念そうに語った。

 例年12月10日に大宮区の武蔵一宮氷川神社で開催される「十日市(とおかまち)」も今年は中止だった。熊手を扱う各店舗が常連客に浦和熊手市の開催について案内状を出して、熊手市への来訪か配送かを尋ねていたという。

 福田さんは「常連さんはとても期待していた。お客さんに中止を知らせるように、各店に指示した」。12日は係員を配置して、来訪する人に中止を伝えることにしている。

 縁起物の熊手を扱うことから、火は特に注意しているという。11日に露店の撤去作業を行っていた関係者は「残念」「何も言えない」と一様に口が重かった。

 浦和署によると、全焼した露店2店は、12日に熊手を販売する予定だった。通行人の女性(50)が「トイレの前で3メートルほどの炎が上がっている」と110番した。同署で詳しい出火原因を調べている。

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