埼玉新聞

 

<全国高校駅伝>男子・埼玉栄、13位 エース欠く中、無限の可能性さく裂「チームとしてやり切った」

  • 男子 埼玉栄の4区三角(左)が5区奥山へたすきを渡す

  • ゴールする埼玉栄のアンカー本間

 全国高校駅伝は20日、京都市のたけびしスタジアム京都発着のコースで行われ、第71回の男子(7区間、42・195キロ)、第32回の女子(5区間、21・0975キロ)はともに世羅(広島)が2015年以来の頂点に立ち、5年ぶりの男女制覇を果たした。

 県勢は、男子の埼玉栄が2時間4分41秒で13位に入った。1区高島が32位と出遅れたが、2区小山が区間3位の走りで5人抜き、3区西田も10人抜きの力走で17位へ。4区三角は区間6位、5区奥山も区間9位で11位まで浮上した。6区山崎は二つ順位を下げたが、アンカー本間も区間6位で13位をキープした。

 女子の昌平は1時間10分42秒で16位だった。1区木下が16位でつなぎ、2区仲西は20位に後退したものの、3区清水で19位、4区河野が区間9位の力走で16位に上げ、アンカー四元が順位を維持してフィニッシュした。

■走れない仲間への思いもプラス

 師走の古都で、“ロードの栄”と評される駅伝力と、オレンジユニホームをまとった高校生ランナーたちが秘める無限の可能性がさく裂した。

 2時間4分41秒は3位入賞した2014年に並ぶ学校歴代2位タイの好記録、さらに2区小山と4区三角は埼玉栄男子の歴代区間記録を塗り替えた。絶対的エース佐藤を欠く中、「チームとしてやり切った」と主将の奥山。順位こそ13位だが、結果以上に未来へとつながる価値あるレースだった。

 「僕も駅伝は流れが絶対だと思っている。それを否定する走りをした。こいつら、すごい。本当に、褒めてあげたい」。興奮気味だった神山監督の言葉が全てだった。

 1区高島はハイレベルなエース区間で序盤から付いていけず32位と苦しい展開。このまま沈んでも不思議ではなかった。だが、ここから不屈の精神で前を猛然と追った。

 1年生小山が昨年の中学全国2冠王者らしい圧巻のスピードで区間3位の激走。5人抜きを演じると、待っていた3年生も応えた。3区の西田が準エース区間で10人を捉え、三角は区間6位、5区奥山も区間9位で一時11位まで浮上した。

 好成績の要因は何か。西田は、佐藤の欠場が早々に決まったことで「誰かに頼るのではなく、一人一人がしっかりしなきゃと思った」と明かす。特に3年生に芽生えた責任感に加え、小山、本間ら中学時代に実績十分の1年生の加入が先輩を刺激し、勢いが融合された。そこには当然「快成(佐藤)のために」(西田)という、走れない仲間への思いもプラスされた。

 3年生が残してくれた財産を引き継ぐ小山は、「全員が走りで引っ張る気持ちで練習する。そうすれば、もっと高みにいける」と新たな決意をにじませた。

■自分でもびっくり、記録更新に笑顔/4区の三角

 好走した選手が多かった埼玉栄の中でも特に、神山監督や仲間が驚いていたのが4区三角の走りだ。区間6位でタイムは23分18秒と、埼玉栄の歴代の区間記録を18年ぶりに13秒も更新した。「自分が一番びっくりしてます」と笑顔がはじけた。

 17位でたすきを受けると、「ただひたすら前を追った」。得意の下りでリズムに野って2人を抜き、最後まで脚色は衰えなかった。最初で最後の都大路で主要区間を任されての好結果を、今後への自信につなげる。卒業後も流通経大で競技を続けるつもりで「箱根駅伝出場を目指して頑張りたい」と目を輝かせた。

ツイート シェア シェア