埼玉新聞

 

巨大…ダンプ850台分“違法残土”が盛られ、そびえる山出現 他人の土地、重機で堂々と侵奪し大迷惑…男性逮捕 東北道IC付近、国道沿いの休耕地 数年前も不法投棄、大規模な火災発生…男性なぜか不起訴に

  • 土砂が堆積している現場の一部。不法投棄を啓発する案内が掲示されている=10日午前、さいたま市岩槻区浮谷

    土砂が堆積している現場の一部。不法投棄を啓発する案内が掲示されている=1月10日午前、さいたま市岩槻区浮谷

  • 土砂が堆積している現場の一部。不法投棄を啓発する案内が掲示されている=10日午前、さいたま市岩槻区浮谷

 昨年2~3月、男と共謀の上、さいたま市岩槻区で違法に残土を搬入、堆積したとして、今年1月16日に不動産侵奪などの疑いで県警に逮捕された無職男性(70)=幸手市栄=について、さいたま地検は26日、不起訴処分とした。処分理由は明らかにしていない。

■そびえる山出現、ダンプ850台分“違法残土”盛られ(以下、初報記事)

 さいたま市岩槻区で違法に残土を搬入、堆積したとして、県警生活経済課と岩槻、加須署は1月17日、不動産侵奪やさいたま市土砂のたい積等の規制条例違反の疑いで、いずれも幸手市栄、自営業の男(68)と無職の男(69)を逮捕した。

 逮捕容疑は昨年2月28日ごろから3月9日ごろにかけて、さいたま市岩槻区浮谷で、同市在住の50代男性ら3人の名義の土地2カ所に、市長の許可を受けずに土砂計約2267平方メートル(計約1万1800立方メートル)を搬入、堆積し、土地を侵奪した疑い。県警は共犯事件のため、認否を明らかにしていない。

 条例では、500平方メートル以上の土砂の堆積は、市長の許可が必要とされている。

 同課によると、昨年3月9日、所有者の1人である60代の男性が「浮谷の土地に残土が積まれている」と110番。土砂は県内外の建設現場から出た残土とみられ、概算で10トンダンプ車850台分を受け入れていた。

 68歳男が現場責任者を、69歳男は土砂を積んだダンプ車などの誘導を行い、同課などは少なくとも1千万円以上の売り上げがあったとみている。

 68歳男はこれまでにも土砂の受け入れ事業を行っており、県警は重機を操縦していたとみられる男性に任意で事情を聴いているほか、県内で少なくとも1件の余罪があるとみて調べている。

■白昼堂々と不法投棄

 現場は東北自動車道岩槻インターチェンジ(IC)から南東に約1キロほど離れた国道122号沿い付近の休耕地。車両1台が通れるほどの幅の狭い市道の左右に見上げるほど高く土砂のようなものが無造作に盛られており、陶器の破片のようなものも見える。

 盛り土の隣に置き場を構えるリサイクル業者の40代女性は「気付いたらいつの間にか大きな山ができていた」と振り返る。風が強い日には砂ぼこりが舞い、取り扱う商品が汚れたり、目に砂が入ることもあると言い、「崩れたりしたら事業に影響がある。何とかしてほしい」と訴えた。

 付近にある流通事業所の管理者の男性は、土砂が搬入されていく様子を目撃していた。「土砂を積んだダンプカーのような車両とショベルのような重機が入り、1週間ほどかけて盛っていた。白昼堂々やっていたから何か工事でもするのかなと思ったが、後で違法だったと知った」と話した。

 男性によると、現場では数年前も不法投棄が起きており、大規模な火事も発生したという。「荒れた土地だと、数年前のように不法投棄が増えていく可能性もあり、治安面でも不安。また火事のようなことが起こってしまったらと思うと心配」と顔をしかめた。
 

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