<新型コロナ>飯能市、成人式を中止「ムーミンパークチケットを贈呈」 コロナ禍で各自治体、苦渋の決断
埼玉県は27日までに、2021年の県内の成人式について、新型コロナウイルス感染拡大のため飯能市が開催を中止とし、62市町村が内容の簡略化や時間短縮などの感染防止策を講じた上で実施する予定だと明らかにした。加須、戸田、越谷の3市は記念行事のみとする。県によると、県内で成人式の中止を決めた自治体は飯能市が初めて。コロナ禍での催しの運営に苦慮する自治体の現状が改めて浮き彫りになった。
今年11月1日現在の県内の新成人予定者は前年比831人減の7万3283人。成人式の実施予定日は1月10日が川越市や熊谷市など45市町村で、11日がさいたま市、川口市など17市町。
県生涯学習推進課によると、成人式で内容の簡略化や時間短縮を行う自治体は54市町に及ぶ。来賓など新成人以外の参加者を限定するのは41市町村、2部制など複数回実施する自治体は33市町となる。複数の会場での実施は、12会場で行う越谷市や11会場の所沢市など11市町という。
飯能市は式典や記念行事などを全て中止。加須、戸田、越谷市は式典を行わない。また、記念行事を実施せず、式典のみ行う自治体は36市町村。
同課は「昨年度は式典を行わない市町村はなかった。本年度に実施する市町村は全て、参加者のマスク着用や入口での手指消毒を呼び掛ける」とコロナ禍の影響の大きさを説明する。
中止を決めた飯能市の担当者は「苦渋の決断だった」と振り返り、「市内外では12月に感染者数が増加し、脅威が迫っている。成人式が原因で大切な人が感染するようなことが起きてはならないと考え、主催者として健康と安全を優先した」と語った。市は新成人全員に中止の知らせと市長らのメッセージ、市内にあるムーミンバレーパークのチケットなどを贈るとし、「感染状況の収束が見えてきた時には、例年と異なる形であってもお祝いができるかどうかを考えたい」と話した。
一方、宮代町は感染防止を見据え、1300人の収容が可能な東武動物公園で成人式を行うことを既に発表している。
新成人に記念写真やペン、図書カードなどの記念品を贈る自治体は44市町村ある。