埼玉新聞

 

<全国高校サッカー>敗色濃厚の昌平、途中出場の兄弟が救う 篠田大輝と翼、深めた絆でヒーローに

  • 昌平―高川学園 後半40分、昌平・篠田翼(左)がゴールを決める

  • 後半ロスタイム、同点ゴールを決めた昌平・篠田大(右)が唐木と喜ぶ

 第99回全国高校サッカー選手権は31日、NACK5スタジアム大宮など首都圏8会場で一斉に開幕して1回戦16試合が行われ、前回8強でJ1鹿島に入る須藤らを軸とする昌平は、高川学園(山口)に2点を先行されながら追い付き、2―2からのPK戦を8―7で制した。5大会ぶりの優勝を狙う東福岡は桐蔭学園(神奈川)に2―0で勝った。

■神様・仏様・篠田様

 まさに「神様・仏様・篠田様」だ。途中出場の篠田大輝、翼の兄弟が敗色濃厚だった昌平を救った。

 0―2で時間が過ぎる中、まず口火を切ったのが1年生の弟・翼。後半40分、須藤のパスを受けると右足で対角線に突き刺した。続いたのが2年生の兄・大輝だ。後半ラストワンプレー、須藤のFKに、「俺のところに来い」と飛び込み、どんぴしゃヘッド。起死回生の同点弾に、「強い気持ちが出たゴール」と喜びを爆発させ、一目散にベンチへ向かった。

 名門・昌平でベンチ入りする2人は普段、サッカーの話はあまりしないが一緒に買い物に出掛けるなど仲が良い。弟が兄の偉大さを感じたのが、前回の全国選手権だった。

 3回戦の国学院久我山戦で後半ロスタイムに決勝弾を蹴り込んだ当時1年生の大輝の姿を見て、「いつも家にいる兄が、あの大舞台で結果を残して普通にすごいなと思った。来年は自分も選手権に出て、兄のように活躍したい」と心に決めた。

 誓いは早速、形になった。大輝は「翼がピッチに入ってきた時に、『兄弟でやるぞ』と話していた。絆を深め合っていたので、ここでつながった。兄弟でヒーローになれてうれしい」と胸を張る。「持ってる男」の大輝と、兄譲りの勝負強さを持つ翼。この先も篠田兄弟から目が離せない。

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