お葬式で大爆笑?! 一升瓶抱えひつぎ入り、でたらめお経 無病息災願う「ジャランポン祭り」5年ぶり開催
生きている人を死者に見立てて本物そっくりの葬式を催し、災厄を笑い飛ばす奇祭「ジャランポン祭り」が10日、埼玉県秩父市久那の下久那公会堂で5年ぶりに行われた。祭壇をつくり、死人に見立てた生き仏役が棺おけに入って、僧侶役が即席のお経を上げる。江戸時代から同地区で脈々と受け継がれている祭りだが、コロナ禍の影響で中止が続いていた。久々に復活し、地元住民らの温かい笑顔の輪が会場中に広がった。
同祭りは、諏訪神社の春の例大祭の余興として毎年3月15日に近い日曜日に行われる。祭りの時に鳴らす印金や太鼓、妙鉢の音から「ジャランポン祭り」、葬式をまねることから「葬式祭り」とも呼ばれている。
地域住民が公会堂で会食した後、ほろ酔い気分になった午後5時半から祭典を実施。今年の生き仏役を務める清水尚典さんが、白装束に三角形の白い布を頭に付けて、日本酒の一升瓶も持ち、木製のひつぎの中に寝転んだ。
風呂敷をまとった楽隊が音を奏でる中、僧侶役の川島康助さん(72)がでたらめなお経を唱え、清水さんの生い立ちなどを面白おかしく紹介すると、会場は爆笑の渦に包まれた。
葬儀後はひつぎを担いで、「ナンマイダ、ナンマイダ」と唱えながら、あんどんが並ぶ参道を通って諏訪神社へ移動。社殿前で川島さんがあいさつを終えると、清水さんが突然生き返り、全員で万歳三唱してお開きになった。
清水さんは「ついに出番が来たかと、複雑な心境だったが、住民たちの無病息災を願う大事な伝統行事。久々にみんなが集まってくれてうれしい」と笑顔を見せた。
僧侶役を約10年務めている川島さんは「この4年間、やりたくてうずうずしていたが、感染症が広まってしまったら永久に再開できなくなるので、断腸の思いで中止にしてきた。来年は次の後継者に役を託すが、今後も行事を支えていく」と話していた。