人気ベーカリーレストラン「ボンドール」、北浦和店ディナー再開で好調 男性シェフ有能、評判のレストラン経営者だった じつはコロナで男性の店閉店、評判を知るボンドール社長が即採用しディナー復活!両者つないだ運命とは
さいたま市のJR北浦和駅前にあるベーカリーレストラン「ボンドール」北浦和店の厨房(ちゅうぼう)に立つ中野俊彦さん(76)は、シェフとして第二の人生を踏み出した。経営していたレストランがコロナ禍で閉店。失意の中、さいたま商工会議所のあっせんで、料理の腕を振るえる今の仕事に就いた。レストラン経営で培ったキャリアも発揮できる職場で充実した毎日を送っている。
中野さんはホテルのレストラン部門や外食事業会社勤務を経て2000年4月、イタリアンレストラン「グッディーズカフェ」をさいたま市浦和区に開店。自慢のパスタ料理や妻康子さん(70)の作るケーキが評判の人気店になった。
■打撃
しかし、順調だった店をコロナ禍が直撃。売り上げは好調時の2割まで落ち込んだ。パスタのインターネット販売も手がけたが、23年3月に閉店。当初、中野さんは事業承継の道を探った。商工会議所や金融公庫を通じて何件か問い合わせがあったものの、結局うまくいかなかった。
ハローワークでの職探しもシェフの腕や経験を生かせる仕事は見つからない。仕方なく病院の給食部門で食器洗いの仕事をしていた時、開店手続きなどを支援してくれたさいたま商工会議所の浜中真人さん(59)と再会、ボンドールの増田康代表取締役(50)を紹介してもらった。
■救い
パン、ケーキを製造販売するボンドールのレストランが人手不足でディナー営業を休んでいたのを浜中さんは知っていた。以前から中野さんの店の評判を聞いていた増田社長が即決、中野さんは今年2月から正式に勤めることに。
ランチとティータイムのみだったレストランはディナーの営業を再開した。メニューに本格的な料理が20種類以上も加わり、ワインやカクテルも充実。3月からは土曜のディナーライブも始めた。前職で音楽イベントなどの企画、運営もしていた中野さんの人脈と経験が役立っている。
■再起
週末のライブは予約ですぐに埋まる。増田社長は「中野さんが来てくれて、できなかったことができるようになった。夜の営業を始めてランチやティータイムのお客さんも増えてきている」。中野さんも「今までの延長で働けてありがたい。ボンドールの歴史を継承するため、体力の続く限り頑張る」と張り切る。
浜中さんは「中野さんのキャリアが正当に評価され、うまくマッチングできた。実践で培った事業経験やノウハウを埋没させることなく、十分に生かせる場を提供することが大事」と話している。