AED、いつでも誰でも…屋外設置&施設内は片道1分、原則トイレ付近に さいたま市、18年ぶりに整備方針改正
埼玉県さいたま市は、自動体外式除細動器(AED)の整備方針を18年ぶりに改正し、2024年度から運用を開始する。「市民が24時間いつでも必要な時にすぐにAEDを使用できる環境の整備」として、市有施設の屋外に設置する方針。認知度の向上を目指し、速やかにたどり着けるように、トイレ付近に原則設置することも盛り込んでいる。
市地域医療課によると、06年7月にAEDの整備方針を策定し、市有施設1施設に1台が設置されている。23年4月1日現在、市長部局所管の市有施設に413台を整備。市はAEDの必要性を強く認識して、整備方針の改正を検討していた。
改正整備方針案によると、屋外設置のほかに、施設内のどこからでも片道1分以内にAEDまで到達することができるよう、設置台数を拡充する。面積5千平方メートル以上の施設▽3階以上か上下階の移動に時間を要する施設▽2棟以上で構成され、棟の移動に時間を要する施設▽観客席などがあり、一度に多くの市民が利用する施設―を対象とする。
施設内の設置場所のばらつきをなくし、「有事の際に迷わずたどり着ける工夫が必要」として、トイレ付近に原則設置する。23年11月に実施したインターネット市民意識調査によると、市内の公共施設にAEDが設置されていることを認識していても、「施設内のどこにあるかは知らなかった」が63・4%に上ったことから、誘導案内板やステッカーなどを設けていく。
設置費用として、24年度一般会計当初予算に約2780万円を計上。全10区役所に先行整備する。市役所・浦和区役所では既に、正面玄関前のほか、地下1階を含む各階のトイレ近くに設置された。
11年9月、市立日進小学校6年の桐田明日香さん=当時(11)=が駅伝の練習中に死亡した事故を教訓として、市教育委員会は市立中学校全58校の正門近くなど屋外に設置する方針を決定。市内の酒造会社から寄贈を受け、23年度内に整備を完了した。