埼玉新聞

 

夜の反省会、前幸手市長がトラブル 断れず参加の元職員、懲戒に不服訴え 過去の職員は処分なし

  • 幸手市役所=幸手市東

 2019年8月、埼玉県の前幸手市長が広島市の平和記念式典に中学生と参加した夜にトラブルを起こし辞職した問題を巡り、当時随行し懲戒処分を受けた20代元職員女性が処分を不服として市の公平委員会に審査請求を申請し5日、口頭審理が開かれた。元職員は「行政のトップから誘われ、一職員が断ることはできない。納得できず処分の撤回を求める」と訴えた。

 元職員は同年8月5日と6日夜、中学生をホテルに送った後、市長、男性秘書課長に誘われ酒を伴う「反省会」に参加した。前市長は6日夜、「反省会」終了後、別の店で女性に暴行を振るったとして現行犯逮捕、釈放され、その後辞職した。同10月、現市長が当選し、市は秘書課長を減給処分に、中学生の安全管理を怠ったとして女性を戒告の懲戒処分とした。

 女性は処分を不服として同年12月、審査請求を申請。前市長のトラブルを巡り、市民から苦情を受けたり、庁内でも仕事がしづらくなり、昨年退職した。

 口頭審理で女性は、代理人弁護士の質問に答える形で、「反省会」が勤務時間外にホテル近くの飲食店で開かれ、中学生の部屋のそばにいる別の引率教員と、携帯電話ですぐ連絡を取れるようにしていたと主張。「反省会」は毎年行われ、当日も秘書課長に誘われる形で参加。過去に参加した職員が処分を受けたことはないとして「納得できない」と処分の撤回を求めた。

 審理後、取材に応じた元職員は「本当は働き続けたかったが、精神的に厳しかった。キャリアアップをしたいが、懲戒処分は履歴書に書かなくてはならない」と訴えた。代理人弁護士は「勤務時間外、何かあった場合の対応も取っていた。たまたま前市長が逮捕されたからといって、懲戒処分は明らかに行き過ぎだ」と述べた。

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