紅こうじ問題、埼玉でも混乱広がる 医師らも懸念、他社の紅こうじ使用製品も余波 県に健康被害の報告なし
紅こうじを使った小林製薬のサプリメントによる健康被害が広がり、埼玉県内でも心配する声が上がっている。別の企業から仕入れた紅こうじを使用している食品関連会社には問い合わせが殺到し、安全性の説明など対応に追われる事態に。サプリの愛用者は原材料を確認し、医療関係者も不安を口にした。
県内で紅こうじを使用した製品を作っている食品関連会社は、問題が明らかになって以降、対応に追われている。この会社が原料とする紅こうじは小林製薬のものではなく、菌の供給元までたどっても小林製薬とは違う企業から仕入れていることを確認済み。だが、週明けの25日から問い合わせが入り始め、28日までに電話やメールで20~30件が寄せられているという。
会社は自社の製品が安全であることを伝え、「紅こうじは古くから国内で食材に使われているが、健康被害は起きていなかった」と理解を求めている。また、小売店など商品を扱う販売先には、説明の資料を送付。店頭に掲示してもらうなどしている。
ただ、この製品は発売開始から間もないため、PRを検討していた矢先だった。販売は継続し、商品の回収も行わないが、宣伝活動は当面の自粛を決定。製造も中止しないものの、売れ残って消費期限が過ぎ、大量廃棄する事態を懸念しているという。
会社の担当者は「やめてしまえば楽だが、販売してくれる店と買っていただけるお客さまがいる限り、提供できる態勢を整えておかなければ。安全な原料で製品を作り続けることがメーカーとしての責任だと考えている」と話した。
小林製薬製とは別の紅こうじサプリを2年前に飲んでいたさいたま市の50代女性は「他にもサプリをよく飲むのでこういう問題が起きるのは嫌です」と話した。女性は健康診断で悪玉コレステロールの値が高く、サプリを摂取し始めた。値が基準値を下回り、飲むのをやめたという。同様にコレステロールを気にする知人にも紹介し、一緒に飲んでいた。「紅こうじが問題になって、慌てて連絡した。(知人も)今は飲んでいないと言われた」と胸をなで下ろした。
越谷市の30代女性も騒動を受けて飲んでいるダイエットサプリの原材料を確認し「不安になった。紅こうじが入っていないと分かり良かった」と語った。
さいたま市浦和区の開業医は「患者から相談は来ていない」としつつ、「他の薬にも混入などがないか心配だ」。川越市の医師は「知り合いのクリニックでは紅こうじサプリを飲んでいた人から検査の問い合わせがあった」と明かした。
県食品安全課によると、29日午後2時時点で県が管轄する13保健所から健康被害の報告は受けていないという。