埼玉新聞

 

慣れた自宅で、日常生活を最期まで 若年がん患者にさいたま市が支援制度、訪問介護の補助金など交付へ

  • さいたま市役所=さいたま市浦和区常盤

 埼玉県さいたま市は、若年がん患者が住み慣れた自宅で最期まで日常生活を送ることができるように在宅療養支援制度を創設する。訪問介護の補助金などを交付するとして、2021年度一般会計当初予算案に約175万円を計上し、開会中の市議会2月定例会に提出した。市議会で可決されれば、新年度から実施される。同様の制度は神戸市や横浜市などで行われているが、県内では初めてとみられる。

 20~39歳の若年がん患者は、20歳未満が対象の小児慢性特定疾病医療給付制度や40歳以上が対象の介護保険制度の対象とならず、「はざまの世代」とされていた。本人や家族の経済的負担が大きいため、公的支援を求める声が上がっていた。市議会で取り上げられ、がん患者や医師らで構成される市がん対策推進協議会が昨年8月、書面会議を開催。市議会や協議会の意見を踏まえて、市が検討を進めていた。

 市健康増進課によると、助成対象者は市内在住の20歳以上40歳未満の末期がん患者で、在宅生活の支援や介護が必要な人。訪問介護、訪問入浴介護、介護用ベッドや車いすなどの福祉用具貸与などで1カ月につき上限8万円、9割を補助する。専用トイレや入浴用いすなど福祉用具の購入に上限10万円を助成。政令指定都市では初めて、制度を利用するために必要な主治医の意見書作成費用についても4千円を補助する。

 市内で20~40歳未満のがん死亡者数は16年が27人(うち在宅療養3人)、17年が24人(同4人)、18年が18人(同3人)だった。

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