JR大宮駅近くに巨大ビル「アドグレイス大宮」開業、そびえる22階建て圧巻 大和ハウスグループが描く“首都圏戦略” ポテンシャル高い埼玉は3拠点体制、売上高は大台の5兆円突破へ 国道16号周辺に熱視線の理由
住宅業界トップの売上高を誇る大和ハウス工業(大阪市)。2023年3月期のグループ売上高は過去最高の4兆9081億円を記録。今期は大台の5兆円を突破する見込みだ。3月5日には、さいたま市大宮区のJR大宮駅西口に22階建ての大型複合施設「アドグレイス大宮」を開業するなど首都圏戦略の重要エリアとして今後、県内営業を強化する方針だ。埼玉、群馬、栃木3県を管轄する北関東支社(同市中央区)の斉藤英男支社長(54)に展望を聞いた。
■まちの“再耕”目指す
同社は1955年の創業以来、住宅を中心に商業・物流施設の建設やインフラ整備など事業領域は多岐にわたる。不動産やリフォーム、金融、ホテル・ホームセンター事業などを含めるとグループ全体では全国488社、従業員数は約7万4千人(2023年3月31日現在)。県内は越谷、川越の2支店を加えた3拠点体制で、住宅展示場11カ所や約680区画を有する郊外型住宅団地「所沢ネオポリス」(所沢市下富)、「スポーツクラブNAS」などを運営する。
少子高齢化による空き家対策や地方創生など喫緊の課題にも土地造成から建設、物件の維持管理までを行うフルバリューチェーンとしての強みを生かし、「人口減少時代にあっても、まちの“再耕(再興)”につなげたい」と力を込める。
■団地、企業誘致も視野
とりわけ、外環道や圏央道の環状道路と関越道や東北道が扇状につながる交通の要衝でありながら、都内と比べて広大な土地が広がる国道16号線周辺に着目。生産年齢人口の減少で企業戦略の変革が迫られる中、「台湾の半導体企業TSMCの熊本進出ではないが、関東の中心に位置する埼玉は経済成長のポテンシャルがまだまだ高い。産業団地、工業団地の開発や大手企業の誘致など地域活性化にも貢献できれば」と意欲を示す。現在、県内12カ所にある物流センターのノウハウも豊富だ。また、大宮や浦和、川口など県南部を中心に社宅(シェアハウス)需要にも応えていく。
■創業100周年に売上10兆円を
同社は2055年の創業100周年に向けて環境長期ビジョン「チャレンジゼロ2055」を策定。分譲住宅に加え、本年度から着工する賃貸住宅や分譲マンション全棟で断熱外壁や太陽光発電を備えたZEH-M(ゼッチ・マンション)を推進。非住宅建築物も30年度までに100%達成を目指している。また「レディ・メイド・ハウジング」という考えの下、分譲住宅購入者に注文住宅と変わらない高い設計力と品質、安心の長期保証や24時間体制のアフターサポートを実現。将来的には戸建て住宅の販売棟数の7割を建売住宅にし、生産性の向上や販売戸数の拡大を狙う。
同グループのコーポレートシンボル「エンドレスハート」には創業以来の“共創共生”の精神が込められており、「今後も地域と共に成長し、世の中になくてはならない事業を展開したい」と斉藤支社長。100周年にはグループ売上高10兆円を目指している。