がんステージ4…生還した笠井信輔アナ、抗がん剤で入院した4カ月半を語る 髪や眉毛も脱け、苦しむ中「頑張って」より「頑張っていますね」の言葉に救われた理由 笠井氏の言葉に、がん治療中の女性が涙「負けない」
行田市医師会(河本英敏会長)主催の健康フォーラムが同市本丸の市産業文化会館で開かれ、テレビなどで活躍するフリーアナウンサーの笠井信輔さん(61)がスペシャルトークを繰り広げた。笠井さんは、自身のがん闘病体験を振り返りながら「家族やSNS(交流サイト)を通した体験者との交流が精神的な支柱になった」と切々と語った。
フォーラムはコロナ禍を経て4年ぶりに開催。市内外から市民約170人、医療関係者ら85人が参加した。朝のワイドショーの顔として親しまれた笠井さんは、フリーになった直後、56歳でステージ4の悪性リンパ腫に罹患(りかん)。「両羽根をもがれるような宣告だった。4カ月半の入院では、抗がん剤副作用の苦しみ、頭髪や眉毛も脱け、外見の変化に苦しんだ」として、治療生活の質向上の大切を説いた。「頑張っている人に『頑張って』と言うのではなく、頑張っていますねと褒め、共感してくれることがうれしい」とも述べた。
市内在住の茂木ミチ子さん(75)は、「私は左半身が不自由。笠井さんの前向きな生き方に励まされた」。がん治療中という群馬県伊勢崎市から来た吉田由佳里さん(51)は、「笠井さんの話は4回目。毎回、その時の自分の体調により受け止め方も違ってくる。私もがんに負けない」と、目に涙をためながら笑った。
トークに先駆け、第1部は、口の中の筋肉を鍛え、誤嚥(ごえん)性肺炎を防ぐための「パタカラ体操」を実践。人生の終末期における医療ケアや過ごし方などを患者当事者と家族で話し合っておくことの大切さも学んだ。ロビーでは、市歯科医師会をはじめ薬剤師会、県放射線技師会などがパネル展示や健康チェック、相談会を実施。嚥下食の試食や消防本部による救命講習も行われた。
市医師会会長代理の川島治さん(59)は「市民の皆さんと、楽しみながら、笑いながら、食べながら健康について考えられたと思う」と話した。