県内公示地価、工業地は全国6位の上昇率 住宅地は東京近郊エリア中心に上昇、県北部の下落幅は縮小
国土交通省は19日、2019年1月1日時点の埼玉県内公示地価を発表した。平均変動率は住宅地がプラス0・7%で3年連続の上昇。商業地は1・6%、工業地は3・0%アップし、ともに6年連続で値上がりした。工業地は外環道沿いなど県南部での強い立地需要を受けて、全国6位の上昇率。住宅地は県南部の東京近郊エリアを中心に上昇、熊谷市と深谷市が下落から横ばいに転じるなど県北部や秩父地域の下落幅は縮小した。商業地はJR浦和駅や大宮駅周辺で引き続き上昇している。
住宅地は継続調査した1020地点のうち上昇が45%を占め、横ばいが31%、下落が24%となった。1平方メートル当たりの最高価格地点は3年連続でさいたま市浦和区高砂2の2の6で、94万9千円。上昇率のトップはJR浦和駅が徒歩圏内のさいたま市浦和区岸町3の1の19で、6・2%だった。
さいたま市内は、横ばいの岩槻区以外の9区で上昇。中でも浦和区が3・2%、大宮区が3・1%と高い伸びを示した。1平方メートル当たりの県平均価格が12万7100円であるのに対し、同市の平均は20万円だった。
上昇率ベスト10に川口市の4地点と和光市の2地点が入った。不動産鑑定士の島田喜久男氏は「東京のマンションが非常に高くなり、東京周辺の地価上昇が顕著になっている。東京に隣接する川口は影響を受けやすい。和光市は(東武線の)特急が止まる主要駅があり、副都心線と直結しているので利便性が高い」と分析する。
熊谷市と深谷市の下落が止まったことについて島田氏は「駅から徒歩圏内には一定の需要があるので、平均が横ばいになった」と説明。一方、「県南と県北では需要に開きがあり、南北格差は広がっている」とも述べた。
工業地は継続調査の全43地点で下落地点はなく、39地点で上昇した。上昇率4・9%で県内1位の草加市青柳2の1の54と、同4・8%で同2位の三郷市インター南1の3の4はともに外環道沿い。
商業地の上昇地点は、前年の122から126に増加。最高価格はさいたま市大宮区桜木町1の8の1で、1平方メートル当たり前年比26万円増の308万円で28年連続1位に。変動率1位はさいたま市浦和区高砂2の1の23で、10・3%上昇した。上昇率上位10地点中、大宮区が6地点、浦和区が3地点を占めた。