相次ぐイベント中止、開くファンとの距離…川越発のアイドル、CFで新たな試み 大きな夢へ走りだす
新型コロナウイルスの感染拡大で芸能活動が制限される中、大勢の前で歌や踊りを披露するアイドルも大きな影響を受けている。ライブや握手会などのイベントは中止になり、ファンとの距離は開くばかり。そんな中、埼玉県の川越発のアイドルが新たな試みとして、クラウドファンディング(CF)を通じた交流を始めた。念願のソロCD発売に向けて、「誰かの背中を後押しできれば」と意気込んでいる。
「ソロデビューは、私にとっての大きな夢。企画でファンの方々と一緒に思い出をつくりたい。今の時代だからこそ、私も歌を通じて元気を届けたい」。2018年に結成された川越発の4人組アイドルグループ「ゆめみどき」のメンバー夕蒼(ゆずき)れなさんは瞳を輝かせる。
夕蒼さんがアイドルの世界に飛び込んだのは2年ほど前。アイドルグループAKB48の元メンバーで、埼玉出身の渡辺麻友さんへの憧れからだった。「ゆめみどき」加入後はリーダー兼センターとして、まとめ役に。「ステージに立って表現することで、誰かの気持ちを動かす存在になりたい」。担当カラーの青色のペンライトが見えたときに、活動のやりがいを感じた。
ソロで初めて舞台に立ったのは昨年3月。「急きょの出演で、出演前は緊張して本気で帰りたかった」。同時に歌うことの面白さを体感。表現の幅を広げたいと、自費でボイストレーニングにも通い始めた。「歌声が聴きやすくなったと言われるようになり、少しずつ上達してきているのがうれしかった」
順調に成長しているように見えたが、コロナ禍が影を落とす。感染拡大防止を理由に、ライブは相次いで中止に。「職を失うも同然。悔しい気持ちとともに、アイドルを続けられるのか不安になった」と振り返る。ファンとの直接の交流も難しくなり、握手などはできず、仕切りを挟んでの会話のみ。「ファンとの距離が遠くなった気もした」と感じたが、それでも「いつかまたライブができるようになれたら」と前を向く。
そんな中、新たなチャレンジとして浮かんだのが、CFだった。インターネット上で企画に対する思いを語り、支援者への返礼品として直筆の手紙やオンラインイベント招待などを用意し、感謝の気持ちを伝えていく。
目標は「全国Zeppツアー」と「アジア進出」。「今回のチャレンジで活動に興味を持ってもらい、個人やグループを知るきっかけをつくりたい」と念願のソロCD発売に向けて走りだした。
目標金額は30万円。夕蒼さんの企画ページはウェブサイト「muevo(ミュエボ)」で実施中。締め切りは25日まで。