生活保護を不正支出した40代さいたま市職員、支出先の世帯と関係は「業務」 動機あいまい事実確認できず
埼玉県さいたま市の区福祉課職員が生活保護費を不正に支出していた問題で、清水勇人市長は25日、臨時の記者会見を開き、桜区福祉課職員による事案と明らかにした上で、「福祉行政の根幹を揺るがす事態で、市民の皆さまに多大なるご迷惑をお掛けし、深くおわびします。誠に申し訳ありませんでした」と謝罪し、再発防止策に取り組むと述べた。
市の調査によると、桜区福祉課の40代男性職員は2020年4月~今年1月までの10カ月間に、生活保護受給の1世帯に計17回にわたり計1271万円を不正に支出していた。受給世帯との関係について、男性職員は市の聴取に「業務での関わり」と話し、桜区に異動する前の大宮区福祉課のケースワーカーだった17年4月から関係があったという。「(金銭は)受け取っていない」と話しているが、動機などについて、市側は「あいまいで事実確認が取れず、今回は公表できない」と説明した。
男性職員は上司の課長の決裁を受ける際、「印漏れです」と装ったり、「課長了承済み」と経理担当にうそを言って処理させていた。課長や経理担当者は、決済過程を確認しないまま押印、処理を行ったり、口座振り込みの点検リストを確認していなかった。市は再発防止策として、決済行為の確認徹底や複数人による点検などを指示した。他に不正がないか過去5年分の調査を進めており、現在のところ、男性職員を含め不正は確認されていないとしている。
男性職員は不正支出を認めており、告訴を視野に入れて警察に相談し、市として厳正に処分する方針。市は生活保護法を適用し、受給世帯に対して不正支出した全額返還を16日に決定し、決定通知書と納付書を送付した。
市に対する電話などによる苦情や問い合わせは22日現在、27件あった。市は18日、内部職員による不適正事務処理に関するプロジェクトチームを設置した。外部の調査を入れないのか問われ、清水市長は「第三者の検証を含め検討する」と述べた。