埼玉新聞

 

<新型コロナ>さいたま市、ワクチン接種の運営訓練 一連の手順など確認、受け付けでの密など課題も

  • 市職員が被接種者役となり行われたワクチン接種の運営訓練=27日午後、さいたま市緑区

 高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種開始を4月に控え、埼玉県のさいたま市は27日、市立高等看護学院(緑区三室)で集団接種の運営訓練を行った。受け付けから問診、接種、経過観察まで一連の流れや手順を確認。時間内に予定した人数に接種できた一方、受け付けでの密などが課題として挙がった。

 市内4医師会から医師6人、看護師の資格を持つ高等看護学院職員のほか、被接種者役として学生、市職員など計160人が参加した。

 検温と手指消毒を行った被接種者は受け付けで本人確認を行い、予診票を提出。医師が予診でこれまでの病歴や当日の体調などを確認し、看護師から接種を受けた。接種後は接種済証が発行され、被接種者は経過観察のため約30分間待機した。

 会場は受け付けから経過観察まで五つの部屋を移動する形で、予診室や接種室は四つのブースを設けた。市保健所によると、1時間当たり1ブース14人、最大56人の接種を目安に配置。約1時間半で予定していた83人の接種を終え、市新型コロナワクチン対策室は「ある程度はスムーズにできた」と話した。

 接種前後では衣服の着脱に時間がかかることを想定し、接種室4ブースへの入り口となる個室をそれぞれ2カ所ずつ設け、被接種者は軽装で待機。呼ばれたらすぐに接種できるよう工夫した。また経過観察では医師の他に救命士、ストレッチャーも配備した。

 訓練後の総括では、受け付けでの密や予診での流れの滞りなどが課題として挙がった。参加者に行ったアンケートでは「動線が分かりずらい」「老眼鏡や(障害者への)五十音ボードなどが必要」といった意見が寄せられたという。

 コロナ対策室の小林裕子室長は「うまくいかない場面もあったが、今回の状況を踏まえマニュアルを作成し、集団接種に臨みたい」と話した。

 市は、個別、集団接種の併用を予定している。個別接種を担当する市内医療機関は現在約270カ所。集団接種は全10区で区役所など1カ所以上を目安に、候補地を絞り込んでいる。

 視察した清水勇人市長は「流れはきっちりできていたが、高齢者の視点で考えると、思ったよりは時間がかかる可能性がある」と述べ、会場に関し「個別接種が手薄になるエリアもあるので、民間施設も含め集団接種会場の確保をしていきたい」と話した。

 市は3月下旬から65歳以上の高齢者32万人を対象に接種クーポン券や予診票を送付し、高齢者以外への接種券送付は4月下旬以降を予定する。

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