東日本大震災10年 福島・双葉町との友好の記念碑、加須の旧騎西高に 双葉に向かい設置、手を携え将来へ
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年となるのを前にして、埼玉県加須市は同市騎西の旧県立騎西高校(現・SFAフットボールセンター)正面玄関前に、震災の記憶や集団避難してきた福島県双葉町と同市との友好を後世に伝える「3・11モニュメント」を設置。6日、大野元裕知事らを来賓に招いて除幕式が行われた。記念碑は双葉町の方向に向かって設置されている。
記念碑は、高さ約2メートルの白御影石に「希望」と書かれ、別の高さ約34センチの黒御影石の碑に経緯を記した撰文(せんぶん)が書かれている。「希望」は双葉町の書道家渡部翠峰さん(78)が揮毫(きごう)した。撰文は同市美術連盟会長の赤荻北州さん(70)、記念碑のデザインを同市美術連盟の藤田博史さん(63)が担当した。
同校には最も多い時で約1400人が避難生活を送っていた。除幕式で同市の大橋良一市長は「加須市は東日本大震災以降、福島第1原発事故で避難されてきた双葉町民の方々を旧騎西高校で受け入れるなど、県とともに支援してきた。2016年には双葉町と友好都市を結んでいる。今、市内には459人の避難者の方がいて、うち384人は双葉町の方。絆と交流、支援は末永く続けていく」とあいさつ。
同町の徳永修宏副町長が伊沢史朗町長のメッセージを代読。「双葉町民にとって思い出深い旧騎西高校に記念碑が設置されたことをうれしく思う。手を携えながら将来にわたってともに発展して行こうと、『希望』の字が示している」と喜びを表した。
大野知事は、10年を振り返りながら、「加須市と双葉町の友好を示す記念碑の除幕をうれしく思う。この旧騎西高校に双葉町の方が避難されたころ、私は国会議員。避難者の方々のご苦労を身に染みて感じた。『希望』が未来につながってくる」と述べた。
書道家の渡部さんは、同校で約2年半、避難生活した経験がある。希望の書で記念碑に関われたことを喜んでいる。「今は加須市に住んでおり、市と一緒に頑張りたいという気持ちが強い」と話した。