埼玉新聞

 

積み重ねた成果 鴻巣女子高の3年生、十二単を制作し経産大臣賞 即位の式典で興味、着やすさにも配慮

  • 制作した十二単を着る田口碧さん=鴻巣市天神の県立鴻巣女子高校(同校提供)

 埼玉県立鴻巣女子高校(永田祐子校長)の3年生、田口碧(あおい)さん(18)が制作した十二単(じゅうにひとえ)の作品が、第41回ホームソーイング小・中・高校生作品コンクールで全国1位の「経済産業大臣賞」を受賞した。田口さんは11日、同校を卒業する。

 コンクールは、日本縫製機械工業会主催(経済産業省、文部科学省など後援)。作品作りを通してソーイングの楽しさを体験してもらい、家庭科教育の基本となる縫う技術、デザイン性などを評価している。

 十二単は「花の平安女子」の作品名で出展。衣服作品部門に寄せられた140点の頂点に立った。十二単の構造を調査して丁寧な縫製で再現しているだけでなく、着やすさにも配慮。布の色や柄などは花が咲き乱れているようで、平安貴族の優雅な生活をほうふつさせている。

 田口さんは、着物好きな祖母和田スミコさん(81)の影響もあり、小学4年生から縫製を学んでいる。鴻巣女子高では家政科学科で技術を高め、全国高校家庭科技術検定1級を取得している。

 「皇后さまの即位の式典を見て、十二単に興味を引かれた。先輩たちが誰も作っていないので、挑戦してみるのも面白いと思った。おばあちゃんと一緒に着物の博物館へ行ったり、生地選びをした。経済産業大臣賞につながり、うれしい」と田口さん。

 同校では、秋の文化祭で生徒たちの成果を発表する「ファッションショー」がある。新型コロナウイルス感染症の影響で昨年は関係者だけのお披露目になった。それだけに、田口さんの今回の経済産業大臣賞は、大きな喜びになった。

 永田校長は「積み重ねてきた成果が出た。彼女の夢の形をみる思いがする」と絶賛。家政科学科科長の江原有紀子教諭も「彼女はバイタリティーがある。思い描いたものに近づける素晴らしい能力を持っている」と喜んだ。

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