埼玉新聞

 

災害時、がれき撤去は急務 震災から10年 東武商事・社長、災害支援の体制強化に尽力 #これから私は

  • 「災害時のがれき、ごみの撤去は急務。今後も被災地に寄り添い業界一丸で頑張りたい」と話す小林増雄社長

 未曾有の大災害となった東日本大震災から10年。「被災地の復興はまだまだこれから。特に福島では(放射線量への不安から)廃棄物の受け入れを断る業者もいるようだ」と懸念する。(足立英樹)

 江戸川の近く、県南東部の吉川市と松伏町に関東圏最大級の総合リサイクル施設を有する東武商事(本社=松伏町)は、食品工場やスーパーなどから出る廃液や廃油処理を専門として約半世紀。小林増雄社長(72)は、県内業界団体のトップとしても災害発生時の支援体制強化に尽力する。

 「産廃業界の災害時における社会的使命を実感している。被災地の一刻も早い復旧・復興のために誰かがやらなければ」。震災から10年を前にした今年1月、県内業界団体の加盟442社に対し、災害時にも役立つトラックやアームロール車といった大型・特殊車両を何台保有しているか緊急アンケート調査を実施。「私たち(産廃業界)に連絡が来るときは、早急な対応が求められているとき。いかに早く初動態勢を構築できるかが重要だ」として、どこから、どれくらいの人員と車両を派遣するかなど一覧表を作成。県内を4つのブロックに分けて連絡網を整理し直し、今後、県との連携を一層密にしていく。

 小林社長は同時に、労働災害があってはならないと、業界の先行モデルとなるよう『当たり前のことを確実に』をモットーに定期的に社員研修を実施。毎日のKY(危険予知)活動の励行や仕事単位のチェックリストによる安全確認など職場環境の改善や社員の意識改革にも力を注ぐ。

 同社では先月16日、洪水などの災害発生時に事業所の一部を地域住民らの緊急一時避難場所として提供する協定を両市町と締結。小林社長は「私たちの仕事は常に住民と共にある。これからも地域に寄り添いながら活動していきたい」と決意を新たにした。

=埼玉新聞WEB版=

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