埼玉新聞

 

<新型コロナ>大変な医療現場のニュース見て「携わりたい」 埼玉唯一の看護科ある公立高、学生の覚悟

  • ナースキャップをかぶり、ろうそくに火をともす生徒ら=23日、さいたま市桜区

 埼玉県さいたま市桜区の県立常盤高校(山田直子校長)で23日、生徒が看護の基礎を学習したことを認める戴帽(たいぼう)式が行われ、看護科の3年生74人にナースキャップが授与された。例年は実習前の6月に行われるが、本年度は新型コロナウイルス対策の臨時休校の影響で遅らせた。密を避けるため在校生は参加せず、教職員や保護者を含め約200人が出席した。コロナ禍の中、生徒たちは不安と覚悟を胸に新たな一歩を踏み出した。

 同校は看護科を設置している県内唯一の公立高校で、3年間の看護科を修了後、併設されている2年間の看護専攻科を経て看護師国家試験の受験資格が得られる。

 戴帽式ではナースキャップを与えられた生徒らがナイチンゲール像からろうそくに火を取る。クリミア戦争でランプを持ち傷病兵を看護した逸話に由来し、守るべき患者の命や、揺らいでも燃やし続ける看護の意志を意味しているという。生徒らは火が消えないようそっと歩き、火が消えた人に分け合ったりしていた。

 山田校長は戴帽生に「コロナ禍で当たり前が当たり前でなくなったが、目標を見失わず乗り越えてきた」と称賛した。戴帽した井上采音(ことね)さん(18)は「コロナ禍で現場が大変だというニュースを見て、医療に携わりたい気持ちがより強くなった。現場での研修が減り、患者と触れ合えていないことに不安はある」と心境を打ち明けた。

 菊地咲良さん(18)は「コロナ禍で医療従事者は感染リスクが高いことは怖いと思うが、命を懸けてもなりたい職業だと覚悟を実感できた」と胸を張った。

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