「じょしーず」が“のめっこく”お節介 「消滅可能性」の小鹿野で女将らが奮起 お見合い大作戦を開催へ
出生数の減少や、若い女性の町外流出の増加が顕著になっている埼玉県小鹿野町を救おうと、地元の女将(おかみ)ら町民5人で組織する「おがのお節介(せっかい)じょしーず」が活動を始めた。女性に観光を楽しんでもらいながら、町内に住む20~40代独身男性との出会いの場を創出するイベント「お見合い大作戦」を7月に開催する。じょしーずメンバーは「私たちが『のめっこく』(親密という意味の秩父地方の方言)お節介します」と意気込む。14日から6月24日の期間、本気で結婚を考えている全国20~30代女性の参加者を募集している。
じょしーずメンバーは、須崎旅館(同町小鹿野)女将の須崎真紀子さん、整体師の鎌田昌子さん、そば処「元六」(同町下小鹿野)女将の久津田和枝さん、越後屋旅館(同町小鹿野)女将の飯塚鮎子さん、俳優の大西まさしさんの30~50代仲良し5人組。4月に公表された「消滅可能性自治体」に、自分たちの町が該当していることで、「より活動に熱が入った」。
7日に町役場で行われた、じょしーず結成報告会で、リーダーの須崎さんは「子どもの頃からの同級生と、宿泊、飲食、イベント事業などで町の活性化に貢献している移住者ら、小鹿野愛いっぱいのメンバーで、面白おかしく、程よいお節介をしていきたい」と力を込める。
町主催の婚活イベントはこれまで複数回行っているが、宣伝力不足もあり、毎回女性陣の集まりが悪かったという。今回は、さまざまな職種のメンバー5人が、交流サイト(SNS)を駆使し、豊かな自然と伝統芸能が息づく「小鹿野」で暮らす魅力を全国に発信し、参加者を募っていく。
お見合い大作戦は、7月5日午後5時に西武秩父駅に集合し、小鹿野町内のグルメを堪能した後、須崎旅館で1泊。6日は秘境の渓谷でバーベキューを楽しんだ後、七夕にホタルと出合える緑地で、愛の告白タイムを予定している。参加費は税込み7777円。
1年前に都内から同町に移住した、唯一の男性メンバー大西さんは、「小鹿野の男性は男前が多いが、真面目な性格が邪魔をして、お嫁さん探しがうまくいっていない印象。交流を重ねることで、男性の本当の面白さや魅力が分かるので、気軽に申し込んでほしい」と、女性陣に参加を呼びかけている。
報告会に参加した森真太郎町長は「カップルが成立し、将来的に結婚となった場合は、『若者世帯マイホーム取得促進事業』など、本年度から採用したさまざまな移住定住の施策で、町がバックアップしていく」と話していた。
お見合い大作戦の申し込みは、「おがのお節介じょしーず」のホームページから。
■人口減受け、町も施策充実
小鹿野町の1日現在の人口は1万188人。5年に千人ペースで減少が続き、2030年には8502人になることが予測されている。出生数は01年度の115人をピークに、21年度が21人、22年度は31人、23年度は22人と低水準が続いている。現在の町立小学4校(小鹿野、三田川、長若、両神)は、25年4月に1校に統合し、25年度の町内児童数は計約300人になる見込み。
女性に焦点を当てた施策を充実させ、人口減少に歯止めをかけようと、町は24年度予算に、町内女性グループが婚活イベントを主催する「町出会い創出プロジェクト」(事業費150万円)や、町民に紹介されて転入した女性とその紹介者に奨励金を交付する「つなごう!ウェルカム女性ハッピー・ターン事業」(同600万円)などを盛り込んだ。町出会い創出プロジェクトのかじ取りは、町内事情をよく知る、老舗旅館の女将らに託した。