埼玉新聞

 

<新型コロナ>変異株の感染者も全員入院、埼玉県は現状を維持 ホテルでPCR検査など体制に課題

  • 埼玉県庁=さいたま市浦和区高砂

 厚生労働省は2日までに、新型コロナウイルス変異株に感染した無症状者や軽症者の宿泊施設での療養を認める通知を自治体に出した。地域の感染状況に応じ、入院の必要がないとの医師の判断や、ホテルなどでの「丁寧な健康観察」が条件。「まん延防止等重点措置」の適用が決まった地域で変異株が増えており、病床逼迫(ひっぱく)に配慮した。通知は3月31日付。

 埼玉県は2日時点で、新型コロナウイルス患者の宿泊療養受け入れの契約を県内9施設と結んでおり、8施設が稼働している。変異株感染者については「基本的に全員を入院させる原則が守られており、医療機関の病床が逼迫(ひっぱく)している状況でもない」とし、当面は現状の方針を維持する考えだ。

 変異株を巡り、現在は主に県衛生研究所(吉見町)で行われる行政検査で新型コロナウイルスへの感染が判明した人の検体のみ、変異株に感染しているかどうかを検査している。ただ、検査の9割を占める民間検査機関では十分に変異株を検査できておらず、県感染症対策課の担当者は「これまでに宿泊療養者の中に変異株感染者がいないとは言い切れない」と話す。

 一方で変異株感染者の宿泊療養には、丁寧な健康観察や退所の条件にPCR検査で2回陰性となることなどが必要となる。担当者は「発症から10日間が経過していれば、検査なしで退所できる現状とは大きく異なるので、ホテルでPCR検査を行う体制を整えなければならない」と課題を挙げた。

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