埼玉新聞

 

<埼玉西武だより>結束するライオンズ いきなり訪れた試練、全員野球で乗り越える ビジター5試合に4勝

  • 3日のソフトバンク戦でヒーローインタビューを受ける埼玉西武の呉念庭=ペイペイドーム(球団提供)

 度重なる試練をチーム一丸となって乗り越えようと結束するライオンズが頼もしかった。札幌では栗山巧と山川穂高が、福岡では外崎修汰が戦列を離れたビジターでの5試合。手負いの獅子たちは、4勝1分けと勝負強かった。

 このピンチを救ったのは、ファームで連日の活躍を見せていた呉念庭。合流した3月31日、「ヒーローに選ばせてよ」と広報から声を掛けられると、すかさず初本塁打で“一発回答”。家族や友人、苦しい時期も支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを語った呉はその日のヒーローインタビューも“当確”だったが、惜しくも試合は引き分け。だが、場所を福岡に移した今月3日には、昨年チームが苦手としていたソフトバンクを相手に3安打5打点の大暴れをして快勝に貢献。“文句なし”のヒーローインタビューでは列車事故があった古里・台湾に「いいニュースを届けたい」と静かに語った。

 呉だけではない。4日には4年目にして初めて綱島龍生が、そしてルーキーの渡部健人が1軍に合流した。3連戦の最終日に合流した2選手が早速行ったのは、宿舎出発前の監督、コーチ、選手、チームスタッフらに対する”あいさつ回り”だった。両選手とも右も左も分からぬ様子だったが、試合に入れば渡部は第3打席に特大のプロ1号をたたき込み鮮烈デビュー。直後、阿部コーチに促されてチームスタッフの待つベンチ裏に向かうと、大きな拍手を受け笑顔で頭を下げた。

 チームの勝利のために、選手会長の森友哉はシーズン序盤にもかかわらず犠打を試み、4番に座った中村剛也には一昨年の輝きを彷彿(ほうふつ)とさせる弾道が戻ってきた。目の前の勝利に向かってチームの心は一つ。いきなり訪れた試練だが、全員野球で乗り越えていく。

 (埼玉西武ライオンズ広報部・田代裕大)

 =埼玉新聞WEB版=

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