埼玉新聞

 

<新型コロナ>あなたの声で元気に…報われた看護師 埼玉医大“心温まる話”共有 臨終後も家族見つめる

  • (写真左から)儀賀教授と表彰された大矢さん、小林さん、坂口さん。右端は堤院長=埼玉医科大学総合医療センター理事長室

 コロナ禍だからこそ、優しい気持ちを職員で共有しようと、埼玉県川越市鴨田の埼玉医科大学総合医療センター(堤晴彦院長)で作文コンテストが開かれ、25編の中から優秀賞3編が選ばれた。同院緩和ケアセンター主催。「あなたの『やさしいひと時』をみんなの心のともしびに」をテーマに、全職員から勤務でのエピソード作文を募集した。

 金賞には、3階東病棟を担当する小林由貴さんの「関わった人すべてに感謝」が選ばれた。小林さんは、看護師になり17年。子育てをしながらの職務に先輩ママナースに支えられたエピソードや、「あなたの声が聴こえると元気が出た」という患者からの一言に報われたことをしたためた。

 銀賞に輝いた薬剤師の大矢浩之さんは、実父ががん患者となり、当たり前が当たり前でないことを気付かされたことをつづり、表彰式で「外来化学療法センターで生かしていきたい」と力強く語った。看護師10年目で銅賞の坂口友基さんは、「患者とその家族への関わりで感じた終末期看護の大切さ」を記述。「家族看護は死別前からはじまり臨終後まで継続して行うもの」と使命感あふれる決意を見せた。

 同院は職員数2366人(看護師1209人、薬剤師68人ほか)、診療科目は36、ベッド数は1053床に及び、一日の外来者数も約2千人と県内有数の医療機関。

 緩和ケア医療科教授の儀賀理暁さんは、「地域の安心を守る立場の私たちが手を取り合って歩んでいけるように、この作文をきっかけに、仲間同士で温かい思いを共有してほしい」と話した。堤院長は、「まさに職員が当院の合言葉、あなたの幸せが私たちの幸せです、を実践していることがうれしい」と目を細めていた。

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