頭取気分で食事も…国の文化財をリニューアル、川越を照らす拠点に 「りそなコエドテラス」あすオープン
国の登録有形文化財に指定されている埼玉県川越市幸町の埼玉りそな銀行旧川越支店が15日、埼玉の魅力を発信し、産業創出を支援する拠点「りそなコエドテラス」としてリニューアルオープンする。開業を控えた10日には、関係者らを招き内覧会が行われた。
洋風建築の建物は、東京駅前に整備された丸の内赤れんが街を造ったことでも知られる建築家保岡勝也が設計し、同銀行の前身の一つである第八十五銀行の本店として1918年3月に完成。その後、増築された部分を含む鉄筋コンクリート造り4階、地下1階建て、延べ床面積1618平方メートルの全体を、2023年1月から今年4月まで1年4カ月をかけて改修した。
蔵造りの町並みが続く川越一番街商店街に面した旧ATM棟には、飲食業への参入を目指している個人や会社が、曜日や時間替わりで出店できるシェアキッチンも入る。登録文化財となっている本体部分の1階には、食品に関係する県内商品を集めたチャレンジショップ、旧金庫室を改装した貸し出しも行うギャラリーなどとして使用。2階はレストランやバーが入居し、旧頭取室はレストランの予約席としても利用できる。
本体部分の3階には、インキュベーション・コワーキングスペースを開設。個人と会社がシェアオフィスに活用できるほか、りそなグループ社員による相談業務や伴走、育成支援なども行われる。屋外のポケットパークや駐車場では、地域のイベントを実施。15日は午前10時半から午後3時まで、駐車場で県内の農産物を販売する川越ファーマーズマーケットを開く。
生まれ変わった施設の開業日は、1878年に旧第八十五国立銀行の設立が認可された日に当たる。森直人館長は「ビジネスを試すことができる場、にぎわいを創出する場となって、この施設の名前のように川越を照らす拠点にしていきたい」と話した。