4月に発覚…「極めてまれなケース」 不正な手続きで市有地売却、職員関与か 金額や売却相手は「調査中で控える」 さいたま市
さいたま市は24日、与野駅西口土地区画整理事業で、必要な内部決裁など市の意思決定がなされずに、市有地を売却していた事実が判明したと発表した。職員が不適正な事務処理により、契約書を作成した可能性があるという。市は謝罪するとともに、23日に調査検討会議を設置して、原因の調査や再発防止の検討に取り組み始めたとしている。
市都市局によると、関与したとされるのは、与野まちづくり事務所の土地区画整理事業担当だった男性職員。市有地を売却するには、行政財産を普通財産に変更したり、契約方法を決定するための手続きなどが必要にもかかわらず、今年1月、市の意思決定がないまま契約書が作成され、市有地が売却されていた。
与野まちづくり事務所が2024年度の定期監査に向けて、前年度の土地売却に関わる文書を確認したところ、4月25日に、今回の不適正な事案が発覚した。市は相手方と土地返還に向けて協議中を理由に、売買金額や相手が会社か個人かなどは「調査中で控える」と繰り返した。
契約書に市長印が押され、書かれていた金額は市へ入金されていたという。県警にも相談しており、調査結果によっては、関与したとされる職員らの処分のほかに、刑事告訴を検討する。
市は23日に総務局、財政局、都市局の幹部職員らをメンバーとする調査検討会議を設置。原因や経緯、ほかに不正に関わった人物がいないかなどを調べる。現時点で第三者委員会の立ち上げは否定した。
決裁を経ずに契約書が存在し、市有地が売却された異例の事態に、都市局の中島栄一まちづくり推進部長は「今回は極めてまれなケース。ほかにこのような事案はないと認識しているが、継続して調査する」と述べた。
清水勇人市長は「関係者や市民の皆さまにご迷惑をおかけし、深くおわびする。市政への信頼を著しく損ねる重大な事案で重く受け止めている。設置した調査検討会議で発生原因の調査と再発防止策の検討をしっかりと行い、厳正に対処する」とコメントした。