【独占】草彅剛さんエゴサ、反響大きい「青天を衝け」徳川慶喜役 共演の皆さん撮影に来なくなり…悲しい笑
大河ドラマ「青天を衝(つ)け」で徳川慶喜役を演じる草彅剛さん。大河ドラマ出演は2004年、香取慎吾さん主演の「新選組!」に榎本武揚役で友情出演して以来となる。「大河ドラマは国民的ドラマ」と話す草彅さんが慶喜役への思いや、共演俳優とのエピソードを語った。(桜井勇太)
―徳川慶喜をどのように解釈して演じていますか。
演出の黒崎博監督と打ち合わせで「つかみどころがない役がふさわしいんじゃないか」と話し合いました。どうしたって慶喜は将軍になってしまうわけで、先のことは今を生きている僕たちからすると理解しているのですが、そこには「自分は本当に将軍になっていいのか」という慶喜の葛藤が見え隠れします。その中で「慶喜は将軍にならないんじゃないか」というぐらいの力の抜けた役をやっていこうかなと思って、ここまで演じてきました。
―周囲の反響も大きいと思います。
SNSなどで自分のファンの方々が「すごく良い慶喜だ」と言ってくれているようで、それがみたくてスマホで「青天を衝け」でエゴサーチしています(笑)。
―主演の吉沢亮さんをはじめ、竹中直人さんや堤真一さんとの撮影が多かったと思うのですが、現場でのエピソードがあればお聞かせください。
先輩俳優の皆さんには本当に良くしていただいています。平岡円四郎役の堤さんとは過去、何度かご一緒したことはあったのですが、今回またご縁があって共演ということで身が引き締まる思いです。これまでの堤さんと培ってきた時間が、円四郎と慶喜の良い関係性に反映されていればと思います。父・徳川斉昭役の竹中さんとは初めてだったのですが「草彅くん、君が本当に俺の息子に思えてきたよ」と言っていただいて、その言葉がうれしかったです。吉沢さんとも初共演です。とてもオーラがあってしっかりとしているなと。細いイメージというか、もっとスマートなのかなと思っていたのですが、体もしっかりしていて、そこから溢れ出るエネルギーが渋沢栄一役にぴったりです。
―栄一との関係はこれから描かれると思いますが、慶喜は栄一のどのようなところに惹(ひ)かれたと思いますか。
慶喜は円四郎にだけは心を開き、その円四郎が栄一を引っ張ってきた、ということが大きいのではないかと思います。慶喜の取り巻きは必要以上にどこか気を遣っている部分があるんですけど、円四郎や栄一に限っては、変に気を遣わずストレートに言ってくるので、その円四郎がパイプ役になった栄一との関係性でどんどん惹かれていくのだと解釈しています。
―この先将軍になっていく展開を視聴者も楽しみにしていると思うのですが、本領を発揮する慶喜をどのように演じようと考えていますか。
普段通りに演じていれば、なるようになるのではないかなと。大森(美香)さんの脚本がすごく自然と入ってくるので、その通りに演じていきたいです。幕末から明治にかけて激動的なシーンも多くありますが、特別気負うより、自然とその激動の時代に飲み込まれていくと思うので、その日その日、その現場その現場で演じていきたいと思います。
―長い期間同じ役を演じることでご自身の中で新たな変化や発見はありましたか。
共演の皆さんが(ドラマ内で)死んで撮影に来なくなっちゃうんですよね(笑)。なのでそれが悲しいです。幕末とは言え、当時の人は命がけだったんだなと感じましたし、争いや戦いがあって今の僕たちがいるんだなと、出演者の方々を送り出して改めて感じました。それが僕の中で、普通のドラマ撮影との違いを感じているところです。人によってはセリフひとつで亡くなって(笑)、これからもいろいろな出来事がたくさん起きるのですが、うまくまとまっていると思います。
―(取材後撮影で)最後にコバトンとのツーショットをお願いできますか。また、深谷市民・埼玉県民の皆さんにメッセージを。
コバトンって鳥なんですね!?愛嬌があってかわいいなあ。僕は高校まで春日部で育ちましたので、埼玉をとても身近に感じています。今後、埼玉深谷の偉人・渋沢栄一と徳川慶喜がどうつながっていくか、楽しみながらみてほしいと思いますね。どうぞご期待ください。
■草彅剛(くさなぎ・つよし)
1974年生まれ。1991年CDデビュー。2017年9月にオフィシャルファンサイト「新しい地図」立ち上げ。2021年3月、映画「ミッドナイトスワン」で演じたトランスジェンダーの役が評価され、「第44回日本アカデミー賞」で自身初となる最優秀主演男優賞を受賞。同作は最優秀作品賞も受賞した。
(埼玉新聞4月28日付第2部「渋沢栄一『青淵の世明け』特集」から掲載)
=埼玉新聞WEB版=