埼玉新聞

 

75歳超え運転者2倍 全国初、警察が“高齢者講習”専用施設オープン 認知機能4万人検査 さいたま市に誕生、訪問者「鴻巣より近い」

  • 全国初となる高齢者講習専用施設の岩槻高齢者講習センター

    全国初となる高齢者講習専用施設の岩槻高齢者講習センター

  • 安全運転相談室内にある運転能力を評価する装置=さいたま市岩槻区馬込

    安全運転相談室内にある運転能力を評価する装置=さいたま市岩槻区馬込

  • 全国初となる高齢者講習専用施設の岩槻高齢者講習センター
  • 安全運転相談室内にある運転能力を評価する装置=さいたま市岩槻区馬込

 高齢ドライバーの増加を受けて、運転免許の更新に必要な高齢者講習や認知機能の検査などを専門に行う「岩槻高齢者講習センター」が27日、さいたま市岩槻区にオープンした。運転実技用の講習コースや運転適性検査室などを備え、受講までの待ち時間短縮を図る。県警によると、警察が運営する専用施設は全国初。

 高齢者講習は免許更新期間が終わる6カ月前に講習の日時と場所が指定されたはがきが届き、70歳以上は乗車での指導や座学の講習を含む高齢者講習を、75歳以上は認知症の恐れがないか判定するための認知機能検査を追加で受ける必要がある。75歳以上で一定の違反歴がある人には運転技能検査も義務付けられている。

 県内の高齢者講習が受講可能な施設はこれまで、県警が委託している自動車教習所53カ所と、鴻巣市の運転免許センターで、年間計約18万5千人を受け入れ、約13万人が認知機能検査を受けていた。

 一方、高齢運転者は右肩上がりで増え、70歳以上の県内の免許保持者は2023年末時点で約72万人。10年前より約1・5倍に増えた。75歳以上は約38万人で約1・9倍になっている。そのため、4月末時点での受講までの待ち時間は平均約30日に上り、有効期限内に免許を更新できない可能性が出ていた。

 県小児医療センターの跡地に開設された岩槻高齢者講習センターは、敷地面積約4万3千平方メートル。2階建ての講習棟に20室の講習室、10室の運転適性検査室などを備え、高齢者講習を1日最大120人・年間3万2千人、認知機能検査は1日180人・年間4万3千人を受け入れて、待機期間の短縮につなげる。

 安全運転相談室も併設され、病気や身体の障害などで運転に不安・支障のある人やその家族が相談することができる。運転シミュレーターもあり、視野やハンドル操作を確認できる。

 オープン初日には約150人が検査・講習を受けた。さいたま市見沼区の男性(79)は認知機能検査を受け、「鴻巣よりも近くなってありがたい。予約も早く取れた」。同市岩槻区の女性(80)も認知機能検査を受験。「すぐに検査の予約ができた。近くにこういう素晴らしい施設ができて助かる」と話していた。

 県警運転免許課の金泉豊次席は「予約を取れないという不安をなくし、他の都道府県のよい見本になれば」と話している。
 

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