自費で1回4万円…さいたま市の福祉課職員、生活保護費を不正支出 相談受け、支給できないと伝えると
2021/05/01/00:00
さいたま市の桜区役所福祉課職員が生活保護費を不正に支出していた問題で、市は30日、勤務していた桜区福祉課と大宮区福祉課の特別監査の結果を発表した。職員は市の調査に対して、2018年9、10月ごろから20年3月まで、被保護世帯に生活保護の生業費を要求され、「自費で1回約4万円、多いときは月3回、現金で手渡した」「不正支出の一部も受け取っていない」と説明している。被保護世帯は一部を職員に返還したという趣旨の話をしており、市は調査を続けている。
市は事案の検証や再発防止策を検討するため、専門家による第三者委員会の設置を決め、市議会6月定例会に条例案を提出する。
市生活福祉課によると、40代男性職員は17年4月から、大宮区福祉課のケースワーカーとして、被保護世帯を担当。生活保護の生業費の支給について相談を受け、支給できないと伝えた。その後、個人の電話やメールで執拗(しつよう)に連絡があり、「業務に支障が出る」と感じて、自費で支払い続けたという。桜区福祉課に異動後、ケースワーカーを監督する査察指導員となり、20年4月~今年1月に発覚するまで、「立場を利用して、公金による不正支出を行った」と話しているという。不正支出された公金1271万円は返還されておらず、市は警察に相談するとともに、職員への損害賠償請求も検討する。
監査結果によると、被保護世帯が18年10月ごろ、浦和区に転居後も担当を移管せず、男性職員が担当。20年3月ごろ、桜区に引っ越してからは、保護台帳を作成していなかった。男性職員は18年度、担当する保護世帯への訪問遅延が18件、訪問未実施が7件など、いずれも前年度より増加し、業務に影響があったとみられるという。