<和光夫婦殺傷>15歳孫を少年院送致 将来極端な逸脱行為につながり得る性格…家裁「相当長期間の処遇」
和光市のマンションで昨年10月、80代夫婦が殺傷された事件で、殺人と殺人未遂の疑いで送致された孫で中学3年の少年(15)について、さいたま家裁(伊藤敏孝裁判長)は28日、「重大な非行で、情緒の発達を中心とした精神面の成長を促すことが必要」として、初等・中等(第1種)少年院送致とする保護処分を決定。少年院に「相当長期間の処遇」を勧告した。
決定理由で伊藤裁判長は「ナイフで繰り返し祖父母に切り付け、突き刺すなどしており、態様は悪い。極めて重大な非行」と指摘。少年がいじめを受けた同級生の殺害を決意したと述べながら、「いじめと無関係な祖父母を殺害しようとしたことや、当時いじめがなくなっていたことにストレスを感じていたと述べるなど動機は理解し難い部分がある」とした。
さらに「クラスの中で自分に触れられたくない過去の出来事が話題にされていると感じたことをきっかけにして非行に及んだ」と認定した。
少年の性格として、「想像力の拙さや他人の感情を理解する力の乏しさ、視野の狭さや思い込みの強さ」などがあると考慮。「この特性は将来の極端な逸脱行為につながり得る」と述べた。
今後については「人命を奪った自らの行為の重さを感じ、他人の心情に思いを致すことができるように」するため保護処分が必要と判断。少年院に「相当長期間の処遇」を勧告した。処分は非公開の少年審判で決定した。
少年は昨年10月18日夕方、和光市の祖父母のマンション居室内で、祖父=当時(87)=の胸や腹を折り畳み式ナイフで刺して殺害し、祖母(83)の首などを切り付けて殺害しようとしたとして、翌19日に県警に逮捕された。祖母は重傷を負った。
地検は昨年11月22日から約3カ月間、少年の事件当時の精神状態を調べて刑事責任能力の有無を判断するため鑑定留置を実施。今年3月1日、さいたま家裁に殺人などの疑いで送致していた。