埼玉新聞

 

埼玉は全国最少、人口10万人当たりの看護師数…どの病院も人手不足 そこで注目の“看護師スキマバイト”埼玉の巨大医療グループが導入へ 家事など手が空いた時間ぜひ 大阪、東京に続く全国3番目のトライアル

  • スタッフ同士の会話も多く明るい雰囲気の「彩の国東大宮メディカルセンター」=さいたま市北区

    スタッフ同士の会話も多く明るい雰囲気の「彩の国東大宮メディカルセンター」=さいたま市北区

  • スタッフ同士の会話も多く明るい雰囲気の「彩の国東大宮メディカルセンター」=さいたま市北区

 2022年厚生労働省の調べによると、人口10万人当たりの看護師数が全国平均の1049・8人に対し、744・2人と最も少ない埼玉県。人手不足を補う即戦力として期待されるのが、資格を持ちながら現場から離れている「潜在看護師」だ。18年12月の同省調査では、その数は准看護師を含め全国で約80万人。だが育児、介護によるブランクや未経験業務での復職(転職)に不安を抱える人が多く、採用に結び付かないケースがほとんどだ。そうした中、上尾中央医科グループ(上尾市)が業務の一部を“スキマバイト”として試験的に導入することを決定し、5月30日から看護師の募集を開始した。大阪、東京に続き、全国3番目のトライアルとなる。

■最短1日4時間勤務

 同グループは首都圏で28病院、21介護老人保健施設などを運営する総合医療福祉グループ。当面は彩の国東大宮メディカルセンター(さいたま市北区)で先行導入し、結果次第ではグループ内に広げていく方針だ。同センターでは内科、泌尿器科病棟と手術室から募集を開始し、夏からは訪問看護なども予定している。

 業務の一部を1~2カ月間の短期アルバイトに充て、看護職専門のオンライン採用マッチングシステム「CURA(クーラ)」に公開。求職者は資格や職歴、理想の働き方など簡単なアンケートに答えるだけで、人工知能(AI)が最適な求人を提案してくれる。最短で週1日4時間からの勤務が可能だ。

 開発したのは東京都新宿区の東大発ITベンチャーの「フォニム」。宍戸光達社長(29)は「看護の世界ではフルタイム勤務が当たり前とされてきたが、さまざまな業界で多様な働き方が広まり、若い世代を中心に考え方は変化している」と経緯を話す。

■ミスマッチを防ぐ

 同センターの佐山順子副看護部長は「昔、中途採用は直接求人を出して人を集めることが主流だったが、最近は人材紹介サイトを使わないと応募が集まらない」と話す。外来数や入院患者数もコロナ禍前に戻り、慢性的な人手不足が続いているが、「そこはどこの病院も同じ。家事など手が空いた時間帯だけでも一緒に働いてもらえたら」と呼びかける。スキマバイトを通じて職場の雰囲気や業務内容をきちんと理解してもらい、ゆくゆくは常勤に切り替えることもできる。ミスマッチによる早期離職を防ぐのが狙いだ。

■豊富な知見生かす

 「潜在看護師だけでなく、定年を迎えられた看護師の皆さんは豊富な知識と経験があり、能力を生かせる業務はたくさんある」と佐山副看護部長。70代半ばのスタッフも現役で活躍している。病棟には認知症患者も多いため、食事の介助などを行う「院内デイケア」も充実させたいという。

 4月から始まった「医師の働き方改革」により時間外労働の上限が原則年960時間に制限された。看護師も特定行為研修を受ければ、人工呼吸器の管理やカテーテルの操作など一定の医療行為を行えるため、宍戸社長は「潜在看護師という財産を掘り起こし、労働環境改善につながれば」と話している。

 採用マッチングシステム「クーラ」のアクセスはこちら https://hubs.la/Q02xFbd20
 

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