「受け入れてくれていると解釈した」 生徒へのわいせつ行為で懲役3年の元教諭の男 厳しい指導で有名 部活を全国へ導くなどの実績で優位な立場を利用した犯行 信頼されていた様子もある一方で不登校や退部者も出ていた
自身が勤務していた公立中学校などの男子生徒多数に対してみだらな行為などをしたとして、児童買春・ポルノ禁止法違反や児童福祉法違反などの罪に問われた、元中学校教諭外崎三吉被告(44)の判決公判が7日、さいたま地裁であり、中川卓久裁判官は外崎被告に懲役3年(求刑・4年6月)の実刑判決を言い渡した。中川裁判官は判決公判で、一部の犯行について「違法性が際立っている」と断罪し、「強く非難されなければならない」と強調した。
公立中学校の元教諭が部活動で指導する複数の生徒へわいせつ行為や盗撮におよび、実刑判決が下された。被害生徒が通う中学校を所管する朝霞市教育委員会の報告書によると、元教諭は部活動を全国大会出場に導くなどの実績から生徒や保護者、他の教職員から特別視されていた経緯があり、優位な立場を利用した犯行が浮かび上がる。
外崎被告は公判で、犯行の理由を「性的欲求を抑えられない弱い心」と説明。「(被害生徒が)受け入れてくれていると解釈した。今となっては拒絶が難しかったのではないかと思う」と述べた。
報告書によると、外崎被告は厳しい指導で有名。しかし、保護者や生徒からは指導を望む声も根強かったといい、事件後の同市教委の会議では、担任を持っていた生徒が説明を受けて涙を流したと報告されるなど、信頼されていた様子もうかがえる。公判で被告の兄は「三吉の性癖に気付いたことはなく、ほかの家族も驚いている」と証言。周囲には犯行の兆しを見せていなかったとみられる。
一方、厳しすぎる指導で不登校者や退部者も出ていた。同市教委は報告書で「当該教諭が(部活動で)結果を出し続けることに過度なプレッシャーを感じていると複数の教職員が気付いていた」と指摘。再発防止策として相談窓口などで生徒や教職員の声を拾い上げる体制の充実などを挙げた。
先月、衆院では子どもと接する職業に就く人に性犯罪歴がないか確認する「日本版DBS」の創設に向けた法案が可決された。参院で審議入りし、政府は今国会での成立を目指している。学校などに確認を義務付け、性犯罪歴がある人は刑終了から最大20年、子ども関係の職業に就けなくなる。県立学校で生徒相談に関わっていた元教員の男性は埼玉新聞の取材に「勤務校でも教え子に手を出し懲戒免職となった教員がいた」と明かし「昔は教職は聖職と呼ばれたが、今はそんなことはない」と日本版DBSに期待感を示す。
県内では、過去に他県で生徒へのわいせつ行為で懲戒免職となったことを隠し採用されていた教員が国の官報情報検索ツールで見つかり、県教育局から懲戒免職処分を受けたケースもあった。元教員の男性は「子どもの将来を傷つける重みを考えたら、絶対に許されない」と強調した。