埼玉新聞

 

生活保護の不正支出、被保護世帯に1217万円…返還せず さいたま市、主査に賠償請求「支払う能力ない」

  • さいたま市役所=さいたま市浦和区常盤

 さいたま市桜区役所福祉課職員が生活保護費を不正に支出していた問題で、市は25日、地方公務員法に基づいて、桜区総務課の主査(43)を免職の懲戒処分にした。管理監督責任を果たさなかったなどとして、桜区福祉課の男性課長(55)を減給10分の1(2カ月)、男性課長補佐(51)を戒告の懲戒処分に、男性区長(60)ら6人を訓告とし、職員計8人を処分した。

 市によると、主査は桜区福祉課の査察指導員だった20年4月~今年1月、正規の決裁過程を経ずに、生活保護の生業扶助費の名目で、17回にわたり計1217万円を特定の被保護世帯に不正に支出した。

 市は同日、主査に、不正支出の全額を損害賠償請求。主査は「大変申し訳ない」と不正を認めているものの、「支払う能力はない」と話しているという。市は今後、訴訟も検討する。

 主査は、被保護世帯から脅迫され、大宮区福祉課時代の18年秋ごろから20年3月まで、月に4万円など自費で支払っていたと説明。桜区に異動後、公金を不正支出していた。被保護世帯は「全額を受け取ったわけではない」と話し、市の返還請求に応じていない。全容解明前の処分について、市は「警察の力を借りながら解明する必要もあり、それには時間がかかるとして処分した」などと説明した。

 市は内部調査を進めるとともに、警察に被害を相談。専門家による第三者委員会の設置を決め、市議会6月定例会に条例案を提出する。

 清水勇人市長は「市民の皆さまの信頼を大きく損ない、心より深くおわび申し上げます。検証と再発防止の徹底を図ってまいります」などとコメントを出した。

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