埼玉新聞

 

<新型コロナ>大学ワクチン接種会場、埼玉大学など「可能」 人員、人件費、動線確保に課題も

  • 新型コロナワクチン大学接種会場、埼大・県立大は可能

 政府が21日から大学キャンパスで新型コロナウイルスワクチンの一般接種が可能とする方針を打ち出したが、打ち手の確保だけでなく、接種者情報の管理や事務経費の負担などクリアすべき課題は多い。県内の大学では、十分な広さを確保できないことから会場として提供することが難しかったり、提供に前向きながら人員の確保や学生に接触しない動線を確保できるかどうか懸念する声もある。

 文部科学省が5月、全国の国公私立大に調査したところ、350校の497キャンパスが施設提供可能と回答した。

 埼玉大学(さいたま市桜区)は、文科省からの調査について、「学生の夏季休暇に当たる8月に学内施設を会場として提供可能である」と回答した。看護学科などのある埼玉県立大学(越谷市)は同様の調査で、「8月に体育館を会場として提供可能である」と答えた。ただし担当者は「接種の運営に係る人員確保や人件費、会場までの動線確保など課題は多い」とした。

 獨協大学(草加市)は要請に応じて協力する意向を示し、「会場提供を含めた協力態勢について市との協議を始める」という。日本工業大学(宮代町)は「要請を受けることは想定しているが、詳細は実際に要請を受けてから検討する」とした。

 県西部の私立大学は文科省の調査に「会場として提供できない」と回答。「学内に大規模接種会場として適した広さの建物がないため、開設は難しい」とした。

 政府は東北大(仙台市)や宇都宮大(宇都宮市)、広島大(広島県東広島市)など7大学を先行実施の候補としており、モデルケースとして他大学にも拡大したい考え。文部科学省は、医学部がない大学が医師や看護師を確保できる仕組みを検討する方針。今後、手を挙げる大学が増えるとみており、「順番に進めていきたい」としている。

 7大学は、ほかに帯広畜産大(北海道帯広市)、豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)、滋賀大(滋賀県彦根市)、京都工芸繊維大(京都市)。

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