埼玉新聞

 

臓器が体外に出る、悩むシニア女性多数 サポートする下着開発 骨盤の底引き上げ、日常を快適に

  • 背面側の「ソコブラ」を手にする北條裕紀恵さん(左)と島崎の大野一さん=島崎・東京営業所(東京都新宿区)

    背面側の「ソコブラ」を手にする北條裕紀恵さん(左)と島崎の大野一さん=島崎・東京営業所(東京都新宿区)

  • 細長いサポートバーを背面固定した状態の「ソコブラ」(島崎提供)

    細長いサポートバーを背面固定した状態の「ソコブラ」(島崎提供)

  • 背面側の「ソコブラ」を手にする北條裕紀恵さん(左)と島崎の大野一さん=島崎・東京営業所(東京都新宿区)
  • 細長いサポートバーを背面固定した状態の「ソコブラ」(島崎提供)

 婦人下着製造・販売の島崎(秩父市)は、加齢や出産などで子宮などの臓器が体外に出てしまう骨盤臓器脱による異物感や尿漏れなどをサポートする下着を、骨盤底筋トレーニング専門家と共同開発した。認知度も理解度も低い病気のため、症状に悩み、生活の質(QOL)を落としているシニア層の女性が潜在的に多いとみられる。女性たちが日常生活を快適に送れる下着として期待される。

 骨盤臓器脱は、子宮やぼうこう、直腸など骨盤内に収まっている臓器が膣(ちつ)などから体外に出てしまう病気で、主に中高年の女性に見られる。加齢や出産により骨盤の底を支える筋肉などが緩むことが原因とされる。人には相談しにくいデリケートな症状のため、日常生活で異物感や尿漏れなどに悩みながらも我慢している女性たちが多くいるとみられる。

 異物感や尿漏れなどをサポートするガードル下着「ソコブラ」を今回、同社と一緒に共同開発した北條裕紀恵さん(50)は、看護師として勤務していた頃から臓器脱に悩む女性を多く目にし、骨盤底筋トレーニングサロンを都内に開業。サロンにくる女性たちをアンケート調査し、2年前から共同開発に着手した。「試作を繰り返し、機能性はもちろん、洋服に響かない、日常生活を快適に過ごせる下着にこだわった」とし、病院や医学会の展示ブースなどでも紹介し、話題になっている。

 骨盤の底を引き上げ、股の部分を安定させながらフィット感を得られるよう、長細く緩みのないサポートバーを股から背面(お尻の上の部分)にホックで固定させる構造。ホックは3段階調整で、脱着時には音もしない。凹凸感も少ないためアウターにも響きにくい。股部分のフリーポケットにはナプキンなどを丸めて入れることができ、フィット感の調整も可能だ。

 同社営業部の大野一副部長(41)は「『フェムテック』に注目が集まる一方で、臓器脱を知らない人が多く、商品の選択肢も少ない。丁寧に説明をし、認知を広げ、潜在的に困っている女性たちの元に届けたい」と話している。

 価格は1万1980円(税込み)。ネットショップ「ランジェリーガーデン」で購入できる。問い合わせは、同社(電話0494・22・2535)へ。

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