埼玉注目“ジビエ工場”誕生 上質ソーセージ、ハンバーガーの販売網を拡大へ キッチンカーで絶品お届け、工場直販も予定 さらに地域問題も解決へ 交付金3千万円を使い、壮大な計画が始まる
皆野町下田野に「皆野ジビエ加工場」がオープンした。地元猟師がわなで捕獲したニホンジカを解体、食肉加工し、ソーセージやハンバーガーにして、キッチンカーで販売している。有害鳥獣被害の増加、捕獲個体の後処理、猟友会の後継者不足といった地域課題の解決と、ジビエのブランド化確立を目指し、同工場を運営する合同会社ボンプ代表社員の岡野直樹さん(44)は日々奮闘している。「自分が食べるものは、できるだけ自分の手で用意したい。そんな私の性格が、地域活性化に役立てられたらうれしい」と熱く語る。
岡野さんは東京都八丈島出身。山間地での自給自足の生活に憧れ、2015年に皆野町に移住した。同年に皆野、長瀞町内をエリアとする「北秩父猟友会」に入会。狩猟活動を通して、野生鳥獣による農作被害の増加や、埋設地の不足、会員の高齢化などの課題を体感した。「狩猟者は年々減少しているが、里山の荒廃が進んだ影響などで、野生動物の行動範囲は年々広がっている」
岡野さんは国の交付金3千万円を活用し、今年3月に町内初となるジビエ加工場を設立。仲間の商品開発アドバイザーら協力のもと、「臭いがきつい」というマイナスイメージを克服し、上質なジビエ料理を開発した。同工場の近隣には養蜂場を備え、百花蜜(ひゃっかみつ)の自家製ハチミツの製造も行っている。
現在は、地元老舗店のみそで味付けしたソーセージや、シカと豚肉の合いびきと新鮮野菜を組み合わせたハンバーガー、ハチミツソーダなど、秩父産品をふんだんに使用したメニューをキッチンカーで販売している。今月下旬からは、同工場での直販売も行う予定。
高野さんは今後、シカ肉の販売網を拡大していくほか、地元・八丈島の特産品とコラボレーションした企画も検討中。「山と海の食文化の違いを多くの方に楽しんでもらい、地域内外の垣根を越えた交流の場をつくっていきたい」と話していた。