埼玉新聞

 

8月で姿消す百貨店、70年の歴史に幕 10年で売り上げ4割減る 「中心街の集客落ちるのでは」「買い物不便に」の声 26日から閉店セールも

  • 8月に閉店する丸広百貨店東松山店=東松山市材木町

    8月に閉店する丸広百貨店東松山店=東松山市材木町

  • 8月に閉店する丸広百貨店東松山店=東松山市材木町

 東松山市材木町の丸広百貨店(本店・川越市)の東松山店が、70年の歴史に幕を閉じる。売り上げの減少や、建物の老朽化などを理由に、8月18日をもって閉店する。地元では「中心市街地の集客に危惧」や「買い物が不便になる」などの声が上がっている。

 同店は1954年7月に出店した。70年、市の中心市街地に地下1階地上5階建てのビルを建て移転した。東武東上線東松山駅東口から徒歩5分の好立地を生かして、地元や比企地域の人たちに長い間、利用され、愛されてきた。

 同社は、閉店について「売上高の減少、商圏内のスーパーなどとの競合の激化」や「建物の設備の老朽化」を理由に挙げている。具体的には「2014年からの10年間で、東松山店の売り上げが約4割減少している」と説明する。跡地利用は「土地の売却は決まっているが、お答えは控えている」としている。

 現在、在籍する社員とパート従業員ら90人は「勤務の継続を希望する社員、パート従業員は他店で雇用を継続していく」という。

 東松山市観光協会会長で、地元で寝具店を経営する内山明夫さん(74)は「市の中心街の集客力が落ちてしまうのではないか」と危惧している。また、「中高年の利用者も多く、特に、毎日のように買い物をしている食品売り場の利用者は困るのではないか」という。跡地について「商業施設となることを願っている」と話す。

 買い物をしていた市内在住の70代男性は、閉店について「昔からよく利用しているし、残念だ。どの商品も物が良いし、食料品も新鮮で質が良い。これから困るね」と話していた。

 なお、同店は26日から「ご愛顧感謝閉店セール」を始める。閉店後は8月23日から市内のビバモール東松山店2階に「まるひろminiビバモール東松山店」を開き、ギフトを中心に手がけるという。

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