埼玉新聞

 

創部7年で全国初V、埼玉の叡明高ダンス部 部員69人、外部からコーチ招くも限られた練習時間…努力結実

  • 叡明高校ダンス部「AWESOMEST」を全国優勝に導いた(左から)部長の大石沙良さん、チームリーダーの藤田凜菜さん、副部長の岡崎莉沙さん=越谷市レイクタウン7丁目の叡明高校

  • 和をテーマとして今大会に出場した「AWESOMEST」(叡明高校提供)

 4月中旬に東京都墨田区の両国国技館で行われたダンス大会のLARGE部門(編成メンバー9~40人)で、越谷市の叡明高校ダンス部「AWESOMEST(オーサムスト)」が、初の全国優勝を果たした。コーチ探しから始まり、チーム改革を推し進めてきた同校ダンス部。部長の3年生、大石沙良さん(17)は、「今までずっと目指してきた舞台で、結果を出すことができて本当にうれしい。皆で勝ち取った勝利」と声を弾ませた。

 大会は「マイナビ High School Dance Competition(通称・ハイダン)2021Final」。同校ダンス部は創部7年目で、部員は男女69人。高校までのダンス経験が未経験の生徒も多い。部内のチームは、「AWESOMEST」と「BOOGROOVER(ブーグルーバー)」の2チーム。ジャンルごとでチーム分けをしているが、女子部員が「AWESOMEST」に、男子部員が「BOOGROOVER」に所属し活動している。

 映画「チア☆ダン」を鑑賞し、高校で全国優勝を目指すことを小学生の頃から決意していたという大石さん。中学2年生のときにインドネシアで生活する両親の元から離れ、日本で暮らす祖母の元で生活。ダンス部がある叡明高校へ進学した。

 胸をときめかせながらダンス部に入部したものの、当時の同校ダンス部は全国優勝はおろか、全国大会での成績を残すのも難しい状態。突き付けられた現実に一瞬困惑したが、それでも「ダンスで全国優勝するために日本に来た」と自分に強く言い聞かせ、仲間を巻き込みながら突っ走ってきた。

 2年生で部長となった大石さんは、共に部を引っ張る副部長の岡崎莉沙さん(17)とチームリーダーの藤田凜菜さん(17)の3人で、「全国で優勝できるチームづくり」に奔走。チームのスキルアップとして欠かせないコーチを外部から招くことができたものの課題は山積みだった。

 コーチが決定してから自身らの引退が懸かるハイダンの関東大会までは、残り5カ月。新型コロナウイルス感染拡大のため思うように練習時間を取れない中、個々のスキルアップはもちろん、秒刻みでの地道で細かなダンスの合わせ練習も欠かさず行ってきた。

 3回の映像審査で行われたハイダンの関東大会予選のうち、1月に行われた2戦目に和をテーマとしたダンスで参加したAWESOMESTは、同大会で見事優勝。全国大会の出場を決めた。29人の心を一つにして挑んだ全国大会。強豪校がひしめく中で、一糸乱れぬパフォーマンスを披露し、会場を魅了。全国優勝を果たした。

 ダンス部のもう一つのチームもハイダン関東大会3戦目のSMALL部門(2~8人)で2位に輝いた。今月、部内での卒業公演で引退する大石さんは「後輩には二つのチームでの全国優勝を狙えるような、私たちの代を超えるチームをつくってほしい」と力を込めた。

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