埼玉新聞

 

【速報】さいたま市PTA協の元会長ら逮捕、保険代理会社の役員も “使途不明金”で除名処分を受けていた元会長、支出すべて主導…協議会を私物化していた54歳(内容更新)

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    さいたま市P協の使途不明金問題、元会長ら3人を逮捕

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 さいたま市PTA協議会で使途不明金が出ている問題で、同会の預金口座から現金引き出しや他の預金口座に送金するなどして、現金計485万円を横領したとして、県警捜査2課と大宮、浦和、岩槻署は26日、業務上横領の疑いで、同会の元会長ら3人を逮捕した。

 逮捕されたのは、元会長で農業の男(59)=さいたま市岩槻区箕輪=、同じく元会長で会社役員の男(54)=同市中央区本町西5丁目=、保険代理会社役員の男(53)=同市緑区道祖土4丁目=の3人。

 逮捕容疑は共謀して、2022年4月11日、当時会長を務めていた農業の男が元会長の会社役員の男と共に、さいたま市内の金融機関で、同会名義の口座から現金100万円を引き出し、さらに現金385万円を保険代理会社役員の男が管理する会社名義の口座に送金して、現金計485万円を横領した疑い。県警は共犯事件のため、認否を明らかにしていない。

 同課によると、485万円は同会から防災事業委託の名目で保険代理会社へ支出されており、その一部が個人的な用途に使われていたという。

 市P協によると、使途不明金は計1079万円に上る。県警は余罪を慎重に捜査している。

■永久に無関係 日本PTA協に再加盟も(以下、除名処分時の記事)

 さいたま市PTA協議会(市P協)は15日、同市浦和区で、2024年度定期総会を開催した。使途不明金を巡り内規違反があったとして、元会長男性(54)を除名処分とし、市P協に永久的に関わることがないようにするとの決議を行った。上部団体の公益社団法人日本PTA全国協議会(日P協)からの退会について承認を求める議案も賛成多数で可決。退会届を近く提出し、正式に退会する。

 19~22年度に計1079万円の使途不明金が出た問題は23年3月に発覚。市P協は今年3月、第三者委員会の調査報告書を公表した。16~18年度に会長を務めていた元会長について、報告書は「協議会の私物化といってもいいような状況が認められた」とした上で、「支出は全体として、元会長が主導的な立場で行われた」と認定していた。

 補償制度の内規では、保険代理店の選定に市P協は関与してはならないと規定。調査の結果、補償制度担当の副会長を務めていた15年度中に、元会長による働きかけがあり、16年度から中央区に所在した保険代理店が参画。「元会長は立場を利用して、自身と関連のある代理店を意図的に参画させた」とし、23年12月20日の理事会で、利益収受の禁止の内規違反に当たると認定した。今年4月24日の理事会で、除名処分を決定し、この日の総会で処分議案が賛成多数で可決された。

 一方、市P協は昨年12月20日の理事会で、日P協の不明瞭な会計処理や高額な事務局支出などを理由に、正常なガバナンスが機能していないとして退会を決めていた。日P協が正常なガバナンスを取り戻したと判断した際は、加盟を再度検討するとしている。

 総会は非公開で開催され、清水勇人市長らが来賓として出席し、あいさつした。使途不明金の再発防止策、日P協からの退会後の取り組みなどを報告し、24年度事業計画案や予算案などを承認した。

 郡島典幸会長は総会後、「会計ルール、チェック体制強化の規定を作れたので、一安心した」と取材に答えた。使途不明金の発覚後、退会する学校が増え、加盟校は165校から150校に減少している。郡島会長は「子どもたちが楽しめる活動に軸足を置いていく。子どもも親も満足することで、PTAの活動の意義を周知していきたい」と話していた。
 

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