埼玉県の水道水27年ぶり値上げ 再来年4月に卸売価格23%アップ 家庭の水道料金176円上昇と試算 さらなる値上げも
埼玉県企業局は1日、県内外の58市町(55団体)に実施している県営水道用水供給事業について、施設の老朽化や維持管理費の増加などを踏まえ、2026年4月に水道水の卸売価格を現在の1立方メートル当たり61・78円から同76円(改定率23%)に値上げする方針を示した。値上げは1999年以来、27年ぶりとなる。卸売価格の値上げにより、自治体が設定する水道料金にも影響が出ることが予想される。
給水人口は約722万3千人で、家計にも影響が見込まれることから、同局は「安全安心な水を安定供給していくため、ご協力ご理解いただきたい」としている。
供給事業は現在、秩父地域を除く県内57市町と茨城県五霞町の水道事業を対象に行っている。受水団体は県水と地下水などの自己水を合わせて、各家庭へ配水している。
同局は値上げによる家計への影響について、1カ月当たり平均約176円(7%程度)水道料金が上昇すると試算。自治体によっては、水道事業経費の増加などを理由に水道料金自体はさらに値上がることも想定される。
値上げに先立って同局では、さいたま市などの県営水道用水購入団体連絡協議会の役員7団体との意見交換会や、全受水団体55団体に対する説明会を実施した。
当初、同局が示した改定案は25年度から28年度まで74円程度値上げする内容だった。電気代などの動力費に関して「再検討の余地がある」といった意見や、改定時期について市民への周知期間を設けるため「26年度以降としてほしい」といった要望を受け、値上げを73円程度とし、25年度は価格を据え置く方針に変えた。据え置いた25年度分は26年度から28年度の値上げに均等に上乗せするため、総額は変わらない。
都道府県営の水道用水供給事業体は22年現在で埼玉を含めて全国21府県にあり、同年のデータでは、最も高い供給単価は京都府の1立方メートル当たり120・47円。22年当時の埼玉は、21府県中3番目に安い供給単価となっていた。
料金改定には条例改正が必要となるため、同局は12月県議会に、23年度決算を踏まえて精査した改定額を提案する方向で準備を進めている。