埼玉新聞

 

新1万円札の両替求め、長蛇の列 店の外まで延び、150人以上が歴史的瞬間待つ 銀行はスタッフを1・5倍に増員 「待ち遠しかった」「とても誇り」

  • 両替した新1万円札を受け取る来店客=3日午後1時10分ごろ、深谷市西島町の埼玉りそな銀行深谷支店

    両替した新1万円札を受け取る来店客=3日午後1時10分ごろ、深谷市西島町の埼玉りそな銀行深谷支店

  • 両替した新1万円札を受け取る来店客=3日午後1時10分ごろ、深谷市西島町の埼玉りそな銀行深谷支店

 深谷市出身の実業家渋沢栄一の新1万円札が3日、発行された。地元からは祝福の声が上がり、渋沢の「立志と忠恕(思いやり)」の精神が全国に広がることを期待した。歴史的な日に新1万円札を受け取った人たちは「待ち遠しかった」「うれしい」と喜びの声を上げた。

 渋沢栄一の生誕地、深谷市西島町にある埼玉りそな銀行深谷支店では3日午後1時から、渋沢の顔が肖像に使われた1万円札など新たな紙幣3種類の両替が始まった。

 川口市の小林幸夫さん(76)は窓口に一番乗りし、1万円札4枚を交換した。真新しい紙幣を手に、「待ち遠しかった。しばらく保管して、お守り代わりにしたい」と笑顔。早朝6時前に自宅を出発して電車で来たといい、小林さんは「せっかく深谷を訪れたので、これからゆかりの場所を巡りたい」と話した。

 渋沢が創立に関わった県立深谷商業高校の生徒たちも来店。期末テストを終えた後、仲間と一緒に駆け付けた3年生の木村風太さん(18)は「深谷市民なので、子どもの頃に授業で習い知っていた人。使わないで大切にしまっておきます」と誇らしげだ。

 同支店では、1億円分の新1万円札を持って記念撮影できる企画も実施。友人同士で参加した、ともに深谷市の介護士高橋広子さん(77)と黒沢文子さん(76)は「とても誇りに思っている。新札発行をきっかけに、深谷の街が栄えてほしい」と願う。

 この日、同支店では本部や他の支店から応援社員を集め、スタッフの数を通常の1・5倍ほどに増員。渋沢が書いた「道徳銀行」の文字が背中にプリントされた藍色のTシャツを着て、客を出迎えた。両替が始まる頃には行列が店の外まで伸び、同支店によると150人以上が歴史的瞬間を待っていた。瀬村泰紀支店長(51)は「キャッシュレス決済が広がりつつある時代だが、これほど多くのお客さまにご来店いただき喜ばしい。地元の活性化につながれば」と期待を膨らませた。

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