埼玉新聞

 

<お持ち帰りグルメ>完売する人気弁当いかが さいたま「居酒屋おたふく」、子どもに無償提供 SNS評判

  • ボリューム満点の唐揚げ弁当

  • 青木喜代子さん

 「居酒屋 おたふく」が今年に入り営業できたのは、緊急事態宣言が解除された春の約1カ月だけ。酒類提供の自粛要請を受けて休業を余儀なくされ、手作り弁当に力を入れた。大雨が降らない限り、毎日休まずに弁当を店頭販売している。苦しい状況が続く中、店主の青木喜代子さん(75)は「何とか乗り切っていくしかない」と話す。

 弁当は8~10種類で、いずれも税込み550円。取材した日は、唐揚げ、とんかつ、焼きザケ、しょうが焼きなど8種類がテーブル上に並んだ。平日は50~60個、週末は80個を完売する。ナポリタン(税込み400円)は、常連客がフェイスブックに書き込み、昔ながらの味と評判を呼んで、千葉県習志野市や越谷市から訪れた客もいた。

 「おなかがすいた」「おいしそう」と話す下校途中の小中学生には、無償で提供。弁当を受け取った子どもたちの保護者が週末、「ありがとうございました」と訪れ、家族分をまとめ買いしていくという。住宅街にある店は、近所の人たちにも支えられている。

 2018年4月に開店し、常連客も増えて繁盛していたが、新型コロナウイルスで一変した。毎朝6時に出勤して家族や従業員らと弁当を手作りする日々。青木さんは「従業員を守るためでもあるけれど、常連さんや近所の人がお弁当を買いに来てくれるのがうれしい。コロナに負けず、前向きに頑張るだけ」と話していた。

【メモ】居酒屋 おたふく

 さいたま市南区太田窪2の1の8。新型コロナ特措法に基づく「まん延防止等重点措置」の期間中は休業し、弁当販売を行っている。販売時間は午前10時半ごろからで、正午すぎには完売する。

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