豚の丸焼きに150年最後の味 来春に小学校閉校、児童や住民が最後の伝統イベント なくなってほしくない 埼玉・熊谷
埼玉県熊谷市妻沼台の市立男沼小学校(新井美保子校長、児童数49人)の創立150周年を記念した「豚の丸焼き大会」が7日、同校校庭で開催された。卒業生ら地域の大人たちが中心になって20年来続く名物イベント。児童数の減少などにより、来年3月で閉校してしまう同校。みんなで食べる最後の味を楽しもうと、太陽が照りつける中、児童や学校関係者だけでなく、中高生や保護者など約150人でにぎわった。
「豚の丸焼き大会」は約20年前、同校OBらでつくる「なかよし会」顧問の佐藤博さん(77)ら地域住民が子どもたちを喜ばせようと始めた。佐藤さんらは40年ほど前に地元でヤングフェスティバルを開催したメンバー。「利根川の河川敷でバーベキューなどをしていたが、自分たちだけでなく子どもたちと楽しもうと思った」と振り返る。現在は、市の放課後子ども教室「男沼っ子スクール」の活動として位置付けられ、同運営委員会が主催。同校PTAなどが協力している。コロナ禍の3年間は中止されていたが昨年復活した。
当初は自作の丸焼きの道具を使い、豚肉の塊を回転させながら焼いていたというが、時間がかかることもあり、現在は記念撮影後に豚肉を一口大にさばいて鉄網で焼いている。「これはロース、ここはバラ肉」などと、その場でさばかれ、焼く肉の味は格別。同校6年生の清水みのりさんは「大きな肉をさばくのを初めて見た。軟らかくてジューシー。いつもの焼き肉と違う」。萩原佑真さん(11)は「いろいろなものが食べられる。みんなで外で食べるとおいしい。(催しが)なくなってほしくない」と話した。
同校は本年度末で、同市立太田小とともに閉校し、妻沼南小学校に統合。来年度から妻沼西小学校として新たなスタートを切る。来賓として駆け付けた小林哲也市長は「150年の学校の歴史は幕を閉じることになるが、地域の文化を守り、つながりを紡いでいってほしい」とあいさつした。
当日は焼き肉のほかにも、隣町の群馬県太田市の名物太麺焼きそばやトウモロコシ、フランクフルト、かき氷などが食べ放題。スイカ割りも楽しんだ。「昨年は肉を食べる前におなかがいっぱいになってしまった」と話す中里槙之助さん(11)は、焼き肉を口いっぱいに頬張っていた。
夏休みの今月28、29日には、同校創立時の学びやだった長勝寺(岩上清純住職)で、子どもたちが寺に泊まる「おこもり会」を開くという。