がん告知で衝撃、いきなり受け止められるか…埼玉に“がん診療拠点”14病院、一人で悩まないよう体制整備 つらい時、ためらわず受診を 気持ちの整理に必要なことは
戸田市本町の戸田中央総合病院で6日、市民公開講座が行われ、同院副院長の堀部俊哉医師と小泉純子がん看護専門看護師が「がんといわれたら~ひとりで悩みを抱え込まないで~」と題し講演した。不安の解消などが目的のがん相談支援センターを紹介したほか、気持ちを整理するため「まずは自分の言葉で話して」などと語った。
堀部医師は質の高いがん医療を提供する、国が指定する「がん診療連携拠点病院」が全国に461、県内には同院など14病院あることを紹介し、機能や体制を説明。自身の専門である消化器内科を例に挙げ、「がん診療のうち、一番大切なのは病状の説明」とする一方、告知については「今は普通の病気とされるが、いきなり言われたらどう感じるか、受け止められているかは分からない」と述べ、限られた時間で、患者に診断、治療方針を伝える難しさを指摘した。
そうした中でがん診療連携拠点病院などに設置された「がん相談支援センター」の利用を呼びかけ、不安や心配事を解消してほしいとした。
続いて登壇した小泉看護師は冒頭で、がん告知で衝撃を受けることがあっても「あなたが一人ではないことを知ってほしい」と強調。「大きな衝撃を受けながらも、あなたが生きていること、そのことこそがかけがえのないこと」とし、つらい場合には心療内科などの受診をためらわないことや、担当医の説明を家族や信頼する人と一緒に聞き安心感を得てほしいとした。
また「情報の力は納得する力の源」とし、納得できる治療を選ぶため正確な情報を得る重要性も指摘。治療は長期戦とし、周囲にがんであることを伝える方法に「正解はない」ことや、就労世代の患者にとっては「いつもの自分でいられることが生きる糧になる」ことについても述べた。
最後に情報伝達や相互理解、不安や緊張などの感情を吐き出し、考えや気持ちを整理するため「まず、自分の言葉で話してみてほしい」と呼びかけ。「何のために治療を受けるのかを見つけられるよう、私たち医療者や相談員がサポートしたい」と力を込めた。