埼玉新聞

 

大河「青天を衝け」パリ万博を画面に再現 演出担当の田中氏「想像広げながら芝居、吉沢亮さんすごい」

  • (上)グリーンバックに囲まれたセット内で演技する渋沢篤太夫役の吉沢亮さん、(下)VFXで描かれたアンヴァリッド廃兵院でナポレオン1世の墓を上から眺めるシーン(NHK提供)

 深谷市出身の実業家・渋沢栄一が主人公の大河ドラマ「青天を衝(つ)け」は、11日放送の第22回「篤太夫、パリへ」で、物語の舞台がフランス・パリへと移る。演出担当の田中健二さんのオンライン取材が行われ、「ビジュアル・エフェクツ(VFX)の技術を活用して、1867年当時のパリ万博にあたかもいるかのように再現した。日本とパリがパラレルに描かれているので、その差を感じてもらえたら」と見どころを語った。

 同回では、パリに到着した吉沢亮さん演じる渋沢篤太夫一行が、万国博覧会の会場を視察。蒸気機関やエレベーターなど、最先端の西洋技術を目の前に、感銘を受ける場面が登場する。「当時の記録は絵や写真でしか残っていない。渡仏して撮影を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で、難しい状況になってしまった。その中でVFXを使って、パリ編のシーンを作り上げた」

 視覚効果を意味するVFXは、現実には見ることのできない画面効果を実現する。今回はグリーンバックに囲まれたセットの中で出演者が演技。CGや合成技術と組み合わせて、作品を仕上げている。「吉沢亮さんは、想像を広げながら思い切った芝居をしていた印象。そこが彼のすごいところ」と振り返った。

 パリ編の渋沢栄一は、断髪洋装の外見はもちろん、内面の変化も丁寧に描く。「かつて攘夷(じょうい)の志士だった栄一が、外国の人々を人間として認め、理解するという感情の動きは意識した。栄一の好奇心がパリでも発揮され、それが後の功績につながっていく」

 国内では、草彅剛さん演じる徳川慶喜が大政奉還を決断。新時代の幕開けが到来しようとしている。「(大政奉還は)見方によって評価が分かれる出来事。今作では慶喜の『気持ち』を前面に描いた。ぜひ『青天を衝け』なりの解釈で楽しんでもらえたら」と呼び掛けた。

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