<高校野球>もう無理か…所沢中央の主将、大会直前に骨折 悔しさ胸に最後の夏、松葉づえ突き仲間鼓舞
所沢中央のベンチで松葉づえを突きながら仲間を鼓舞する選手がいた。鈴木元太主将(18)は大会直前に足首を折るけがを負い、最後の夏はグラウンドに立つことはできなかった。それでも、「みんな笑顔でやれば逆転できる」と最後まで仲間を信じ、諦めず声を出し続けた。
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背番号6を背負った鈴木主将は今大会2週間前に行われた練習試合で、本塁へ突入する際に相手の捕手と交錯、左足首を骨折した。全治約6カ月と診断され、数日間入院した。
「けがをした時に(大会出場は)もう無理かなと思った」と振り返った主将は、悔しさを胸にしまって気持ちを切り替え、選手としてではなく、マネジャーとして試合に臨むことにした。代わりに出場する2年生に技術面や精神面などをアドバイスした。
試合は1点を先制されるが、六回に逆転に成功。1点差のリードを守れるかと思われたが、八回に同点に追い付かれ、九回表に逆転を許した。
2点を追い掛けて迎えた最後の攻撃。鈴木主将は「いつも、練習試合でも流れに乗れれば大量得点が取れるチーム。最後はみんな楽しんで振ってこい」と言って送り出した。そんな激励に応えるように、仲間たちは2死から死球や右前打で出塁、相手のミスに乗じて1点を返し、さらに一打同点のチャンス。しかし最後の打者は三振に倒れて試合終了となった。
「グラウンドに立つことができれば主将としても打撃面でも貢献できた。チームに迷惑を掛けてしまった」と悔し涙を見せる主将に、伊藤達大監督は「けがをしつつもベンチの中で指示を出し続けてくれた。試合に出たいという思いがある中、チームのためにと言ってくれていた。感謝しかない」とねぎらった。
「入院していた時には僕の分まで勝つからと仲間はメッセージをくれた」と振り返った鈴木主将は、「3年生は6人と少なかったが、2年半一緒にやってきた。けんかもしたけど最後は一つになってできたので良かったです」とすがすがしい表情で仲間に感謝した。
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