埼玉新聞

 

<高校野球>背骨が変形する病気…激痛の主将、手術後もつらく「心折れそう」 しかし仲間に励まされ、リハビリ専念…ついに球場へ戻ってきた 2番・二塁手として復活 守備けん引、打って活躍 最後の夏に奇跡

  • 6回表2死一塁、中前安打を放つ与野の上森孝太主将=12日午前、県営大宮球場

    6回表2死一塁、中前安打を放つ与野の上森孝太主将=12日午前、県営大宮球場

  • 6回表2死一塁、中前安打を放つ与野の上森孝太主将=12日午前、県営大宮球場

 12日に県営大宮球場で行われた夏の全国高校野球選手権埼玉大会2回戦、与野―川越工の一戦。「野球ができていることが奇跡」と話した球児の集大成の夏が終わった。与野3年の上森孝太主将(17)は、体を支えている背骨が変形する脊柱側彎(そくわん)症で1年時の7月に手術。半年間に及ぶリハビリや練習を繰り返し、2番・二塁手として最後の夏に挑戦した。

 「あれ以上の痛みは人生で、もうない」。術後のつらさを上森さんはそう語る。心が折れそうになったこともあったが、一つ上の先輩で主将を務めていた奥貫蒼さん(18)の「必ず一緒に戦うからな」という言葉や同級生の励ましが支えになり、半年間はマネジャーとしてチームを支えながら懸命に過ごしたという。

 1年時の3月に運動復帰した。遅れを取り戻すため、毎朝6時に一番乗りで登校。2年時の夏は途中出場した。今夏に向けて遊撃手の須永悠太選手(17)と自主練習を重ね、二遊間の守備でけん引。この日、上森主将は六回に中前安打を放ち好機を築くなど、打撃でも成果を発揮した。

 惜しくもチームはシード校を相手にサヨナラ負けを喫したが「野球が大好きでしょうがない。勝ち負けもそうだけど、とにかく野球ができる自分の体をかみしめて2年半プレーできた」。上森主将は、充実感と感謝をにじませ球場を後にした。
 

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