埼玉新聞

 

医療的ケア児者ら防災学ぶ 日常的な外出、延長が防災に 被災した場合、医ケア児者が最低限使う電源の消費電力の「見える化」重要 行政や地域の連携も大切

  • 障害者の防災について話す県立川島ひばりケ丘特別支援学校の斎藤朝子教諭=21日午後、さいたま市岩槻区馬込のカリヨンの杜

    障害者の防災について話す県立川島ひばりケ丘特別支援学校の斎藤朝子教諭=21日午後、さいたま市岩槻区馬込のカリヨンの杜

  • 冷却パックを作るワークショップに参加する医療的ケア児者と保護者ら

    冷却パックを作るワークショップに参加する医療的ケア児者と保護者ら

  • 障害者の防災について話す県立川島ひばりケ丘特別支援学校の斎藤朝子教諭=21日午後、さいたま市岩槻区馬込のカリヨンの杜
  • 冷却パックを作るワークショップに参加する医療的ケア児者と保護者ら

 人工呼吸器やたんの吸引などが必要な医療的ケア児者とその保護者が21日、さいたま市岩槻区馬込の「県医療的ケア児等支援センター 地域センターカリヨンの杜(もり)」で、防災イベントを開いた。当事者と関係者約110人が参加し、講演やワークショップを実施。日常的な外出の大切さと、その延長が防災になることなどを学んだ。

 医療的ケア児者と保護者は日頃、地域の防災訓練に参加できない。避難所の利用をはじめ、自治体や地域と連携がないケースも多い。イベントは当事者と保護者の会「カリヨンの杜医療的ケア児者家族の会ohana」が企画、主催した。

 会の宮城由美子代表は、イベントを開いたきっかけに触れ「情報交換の場をつくりたかった。地域には医ケアの大変さ、手助けが必要なことを知ってほしい」と話す。

 講演には障害者の防災に詳しい県立川島ひばりケ丘特別支援学校の斎藤朝子教諭が登壇。災害の備えとして、地域で起こる水害や地震の可能性、情報を得るアプリや食べ物の備蓄の仕方について紹介した。

 被災した場合、医療的ケア児者が最低限使う電源の消費電力を把握し「見える化」しておく重要性を強調。「蓄電池やバッテリーでどれだけしのげるか確認してほしい。猶予時間にその後どうするか選択肢を考える」と話した。

 福祉避難所については、あらかじめ行政や地域と連携し、設備やサポートについて話し合うことが大切と指摘。事前に特別支援学校が避難所に使えるか確認する必要性もあると加えた。

 斎藤教諭は、こうしたやりとりが「地域に支援が必要な人がいることを知ってもらう機会になる。(当事者と家族が)外出に慣れておくこと、普段行っていることの延長が防災になる」と呼びかけた。

 会場では、会のメンバーが持ち寄った機器を展示。避難で必要な人工呼吸器や吸引機、在宅酸素など、メンバーと参加者が意見交換した。

 宮城さんは「(医ケア児とその保護者は)引きこもりがち。防災について情報交換し、地域に知ってもらうことで『外に出ても大丈夫』という勇気が持てる。防災を学ぶことが心の備えにつながれば」と話している。

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